LvyuanのBAT-S48100という51.2V100Ahのリン酸鉄リチウムイオン蓄電池を3台並列接続して、ハイブリッドインバーターを使用しているのですが、導入当初からある問題に悩まされていました。
BMSの表示上ではSOC50%と表示されていても実際には10%以下の容量の電圧まで下がっている為、SOCと電圧の整合性が取れず、SOCが一気に下がる
という現象が度々現れます。
⇑ 11時頃SOC50%あったのが、13時にはSOCが1桁まで低下
さて本題ですが、
何故BMS上のSOCと実際のSOCの乖離が大きくなるのか?
以前、海外の書き込みからSOC100%にしないと、測定誤差によって乖離が大きくなって実際の容量と整合性が取れなくなるという結論に至りました。
では、測定誤差の原因は何でしょう(;´・ω・)?
半年間のBMSのログデータを解析して原因が判りました。
答えはハードウェアの仕様が原因(;´∀`)
どういうことかというと、
電流自体は0.01A単位で計測されるのですが、0.80A(800mA充電)~-0.80A(800mA放電)は無効として0Aで計測されています。
HYP4850U100-Hの待機電力は1Aなので約50Wで、2台使用している我が家では100W程度の待機電力を常時消費している訳ですが、蓄電池はBAT-S48100を3並列で設置しているので、1台当たり33.3W(0.67A)の電力を供給していることになります。
つまり、0.80A未満の電流を計測できない為、実際は0.67Aの電力を消費しているのにも関わらず、BMS上では電力消費が無いと判断する訳ですね。
ハイブリッドインバーター2台で24時間待機電力のみで2.4kWh消費する訳ですが、BMS上では電力を消費している認識が無いということです。
これは蓄電池2並列や単発で接続していれば起きなかった問題とも言えます。
また、当方のようにハイブリッドインバーターのバイパス出力をしていないオフグリッド環境でなければ短期間では起きない問題でもありますね。
例えば、我が家の場合
晴天
100W発電するまでの8時間
放電完了以降の6時間
以上、計14時間で1.4kWhが消費しているとします
雨天
雨天は発電が見込めませんが上限95%を目途に夜間充電しており、
商用充電開始する1時までの間の1時間
商用充電完了以降の18時間
以上、計19時間で1.9kWhが消費しているとします
SOC100%(15kWh)よりスタート⇒実際のSOC100%(15kWh)
1日目:雨天、放電完了時SOC40%(6kWh)⇒実際のSOC27%(4.1kWh)…-1.9kWh
2日目:雨天、放電完了時SOC40%(6kWh)⇒実際のSOC14%(2.2kWh)…-1.9kWh
3日目:晴天、放電完了時SOC50%(7.5kWh)⇒実際のSOC15%(2.3kWh)…-1.4kWh
4日目:雨天、放電完了時SOC60%(9kWh)⇒実際のSOC12%(1.9kWh)…-1.9kWh
5日目:晴天、放電完了時SOC80%(12kWh)⇒実際のSOC23%(3.5kWh)…-1.4kWh
6日目:雨天、放電完了時SOC74%(11.1kWh)⇒実際のSOC4%(0.7kWh)…-1.9kWh
大雑把にすると、こんな感じになります。
この場合、6日目にはBMS上のSOCが74%にも関わらず実際のSOCは4%となります。
計測されない待機電力分は6日分蓄積されて、計10.4kWh分の電力が計測されていないことになります。
⇑ 充電中にも関わらず電圧は49.99Vで既に過放電の状態なのにSOC74%
100%まで充電されれば最大容量から使用電力を減算をしてSOCを算出するので問題は無いのですが、100%未満で充放電を繰り返す事により、実際には計測されていない電力分が減っていく為、どんどん乖離していきます。
この事案はSRNE系蓄電池特有の問題だと思われます。
また、他社製蓄電池でも同じようなことがあれば、同様の現象と考えても良いと思います。
メーカーに問い合わせたところ、ハードウェアの仕様上0.7A以下(実際には0.8A未満)の電流は計測できない⇒この動作は正常と回答されました(;´・ω・)
結局、ソフトウェアでは解決できないので、定期的に100%充電するしか対策法は無いようです。
ちなみに以前使用していたチェリーベルで購入したLFPは、定期的に保管状態を確認していますが、無負荷でもSOCは徐々に減っていることから、SOCの誤差は無いと考えて良さそうです。実際にBluetoothやBMSで電力を使用しているので減らない方がおかしいですからね。