故障したハイブリッドインバーターの修理に着手して
目の当たりにした中華製品の闇・・・
⇓ 闇の詳細はコチラ
何故電解コンデンサを重要視するのか?
太陽光発電の火災で一番多いのがパワーコンディショナーからの出火です|д゚)
火災原因は大きく分けると施工不良と経年劣化です。
経年劣化にはハンダクラック等も含まれますが、電子部品の寿命が引き金となって火災に発展するケースが殆どです。
パワコンを含むインバーター故障の殆どはMOSFETやIGBTの故障となりますが、その故障の根本的な原因の大半は電解コンデンサの劣化と言っても過言ではありません。
不安定な電力供給でストレスを与えられた結果、半導体は過熱して死に至るといった感じです(=゚ω゚)ノ
中華製品を安心して長く使用する為にも
実装されている電解コンデンサの
ホントの仕様を調べる必要があります・・・
電解コンデンサの本当の仕様を暴く(=゚ω゚)ノ
まずHYP4850U100-Hは48Vモデルである以上、バッテリー電圧は60V以下なので、50V以下の電解コンデンサは全て制御電源で使用されていると思っていいです。
※同じSRNEのHF/HFP48xxやASF/ASP及びLvyuan等も同様と考えていいです
25V、35V、50Vといった定格電圧の電解コンデンサがありますが、段階的に電圧を変更しているというよりも、定格電圧の大きさによってリプル電流の耐性が上がる電解コンデンサの特性を利用していると思われます。
実際に制御電源部のパターン上には+12V、-12Vというテスト用パターンが存在し、定格電圧25Vと35Vの電解コンデンサの両極のパターンは0Ωでした。
⇓ メインボード裏面の制御電源エリアにある+12Vのテスト用パターン

そう考えると、35Vや50Vのものは25Vでも問題なく使えると考えられ、コスト的問題で定格電圧25Vの物を35Vと偽って使用されている可能性があります。
電解コンデンサの10℃2倍則(アレニウスの法則)

推定寿命と稼働時間から劣化率が概算できるので、LCR測定したデータを基に初期仕様を探ることが可能です(=゚ω゚)ノ
基本条件
使用年数2年の内訳
購入から1年間
・AC電源による夜間充電していたので24時間フル稼働
・ノーマル仕様で冷却
★平均70℃:ACコイル付近
★平均55℃:筐体上部
★平均45℃:筐体下部
残り1年間
・AC電源による夜間充電は廃止し1日12時間稼働
・強制冷却仕様
★平均60℃:筐体上部
★平均45℃:筐体上部
★平均20℃:筐体下部
※自己発熱により周囲温度より個体温度が低くなることはないので最大値となる
電解コンデンサの劣化判定
インバーターのような機器では電解コンデンサの劣化がMOSFETやIGBTの焼損に直結するので、メーカーの定める推定寿命を目安に交換した方が良いです。
ただ今回のようにラベルの印字が偽装されているような場合、LCR測定をして測定結果から判断をするしかありません(;´Д`)
★交換判断基準
測定環境は20~25℃の常温
・容量 :100Hz・120Hz測定で初期容量の20%以上消耗
電解液がドライアップすると、容量が低下し電圧のリプルが増大します。
劣化末期には10kHzの高周波帯で容量が激減する。
10kHzの高周波帯で容量が安定しない場合は低ESR品ではない。
・ESR :10kHz~100kHz測定で仕様の2倍以上
ESRが増大すると自己発熱が増え、劣化を早める悪循環に陥ります。
・Tanδ :100Hz・120Hz測定で仕様の2倍以上
Tanδはエネルギー損失の割合を示します。ESRや容量の変化を反映。
:1kHz測定で100Hz測定よりも急増
周波数上昇に対してESRの低下が追いつかないと、Tanδが急上昇します。
上記条件のうち1つでも該当すれば交換が必要と判断する。
①Samyoung BDS 35V100μF

この電解コンデンサのメーカーやシリーズはロゴマークと印字内容で特定する必要があります。
このハイブリッドインバーターに使用されている電解コンデンサのメーカーはSamyoung・AiSHi・Rubyconの3社で、各社の表面実装型電解コンデンサ(SMD)の表記仕様を確認したところ、SamyoungのBDSシリーズと特定しました。
※ちなみに画像によるメーカー特定にAIは全く役に立ちませんでした(-_-メ)
これは低ESR品ではなく一般用なので、インバーターのような高周波回路に使用するとスイッチング動作時には損失が大きい。

https://samyoung.co.kr/download/surface/BDS(MVK).pdf
仕様寸法はφ8×10mm⇒実際の寸法はφ6.3×7.7mm
表面実装型のBDSの寿命はφ8は2000時間ですが、φ6.3は1000時間で、仮に定格電圧35V⇒25Vにすると、定格リプル電流も100mArms程度小さくなり、定格25V品を使用すれば実質的にグレードダウンとなります。
インバーターの整流・昇圧用IGBTのゲートドライブ用に一般用(BDS)を使用し、定格寿命が1000時間という選定は悪意しか感じられない…(;´・ω・)
推定寿命から容量を算出
★BDS φ6.3の双方向インバーター整流・昇圧ゲートドライブ用の場合
・定格:105℃で 1,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均70℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=35℃
〇期待寿命:1,000×2^(35/10)=1,000×11=11,000時間
8,700時間÷11,000時間=0.791≒約79.1%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均60℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=45℃
〇期待寿命:1,000×2^(45/10)=1,000×22=22,000時間
4,300時間÷22,000時間=0.195≒約19.5%消耗
79.1%+19.5%=約98.6%消耗
寿命容量:100μF-(100μF×80%)=20μF
20μF×98.6%=19.7μF
100μF-19.7μF=80.3μF
インバーター側はやはり寿命を迎えていたことになります(;゚Д゚)・・・
★BDS φ6.3の場合PV昇圧ゲートドライブ用の場合
・定格:105℃で 1,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均55℃(筐体上部)
〇温度差:Δ T=50℃
〇期待寿命:1,000×2^(50/10)=1,000×32=32,000時間
8,700時間÷32,000時間=0.272≒約27.2%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均45℃(筐体上部)
〇温度差:Δ T=60℃
〇期待寿命:1,000×2^(60/10)=1,000×64=64,000時間
4,300時間÷64,000時間=0.067≒約6.7%消耗
27.2%+6.7%=約33.9%消耗
寿命容量:100μF-(100μF×80%)=20μF
20μF×33.9%=6.8μF
100μF-6.8μF=93.2μF
⇓ PV昇圧ゲートドライブ用のBDS100μFをLCR測定した結果

100Hz⇒容量:92.28μF、ESR(Rs)1.771Ω 、Tanδ(D):0.1027
1kHz⇒容量:86.55μF、ESR(Rs)1.065Ω 、Tanδ(D):0.5798
10kHz⇒容量:59.25μF、ESR(Rs)898.1mΩ、Tanδ(D):3.3437
周波数上昇で容量は約30%減少し、Tanδは3倍以上増加で劣化が進んでいると思われます。
また推定寿命から算出した容量93.2μFと100Hzで測定した結果92.28μFとほぼ一致しています。
ESRも898.1mΩと標準品並みであることからシリーズはBDSと思われます。
推定寿命と測定結果が一致している事から、定格寿命1000時間であることは間違いなく、BDS 25V100μFが濃厚で、
定格電圧を落としたリプル耐性のスペックダウン
更に径が小さくなったことで2000時間⇒1000時間にスペックダウンのダブルパンチとなっています。
Samyoung BDS 35V100μF ⇒ BDS 25V100μF
ハイブリッドインバーターに使用されているこの電解コンデンサは、双方向インバーターに使用されているIGBTのゲートドライブ用なので、このコンデンサが死亡するとIGBTが異常加熱で燃えます。1つでも寿命を迎えていれば全交換ですね。
寿命が2000時間から1000時間に減ったことでシステム全体の中で早期に劣化します。ACコイル付近に実装されている環境から考えても、このスペックダウンは致命的で、低ESR品ではなく汎用品を使用している事から高周波特性が悪く、劣化=故障に直結します。
当方のHYPではノーマル仕様1年で既に80%程度消耗していたことになりますが、強制冷却を行ったこととAC充電をやめたことで劣化が緩和され、何とか2年持ち堪えたと考えられます。
AC充電を再度行い充電中の設定変更によるストレスを与えた結果、コンデンサが制御に耐えきれなくなったものと推測します。
★代替について
SamyoungのBDS35V100μFと同等ではダメです|д゚)
形状はSMDタイプ、寸法はφ6.3、低ESR・高リプル・長寿命の電解コンデンサ
当方はPanasonicのEEEFT1V101APを使用しましたが、高温環境なのでそれよりも長寿命な製品をおススメします。
35V100μF・125℃・4000時間・超低ESR・高リプル品
・ニチコン GYE1V101MCQ1GS
・日本ケミコン HHXJ350ARA101MF80G
②AiSHi RZ 25V470μF

https://www.aishi.com/files/3_AiSHi_Full_Catalog.pdf
仕様寸法はφ10×12.5mm⇒実際の寸法はφ8×16mm
RZは高寿命・超低ESR品で、仕様の物と寸法が全く違う。
主に制御電源の二次側平滑用に使用されており、並列で使用されている箇所が多いので特に低ESRや高リプルを重要視した方がいいです。
サイズ的に偽装されていることは間違いなく、同社製コンデンサから探ってみると…該当する電解コンデンサはRD・RE・RF・RR・RSの5種類となります。

⇓ 摘出したRZ25V470μFをLCR測定

100Hz⇒容量:427.6μF、ESR(Rs)254.2mΩ、Tanδ(D):0.0623
1kHz⇒容量:408.8μF、ESR(Rs)111.1mΩ、Tanδ(D):0.2053
10kHz⇒容量:446.1μF、ESR(Rs) 52.3mΩ、Tanδ(D):1.4669
容量が427μFであることから容量偽装の可能性は無い。
10kHzでESRが52.3mΩなのでRRが濃厚。
https://www.aishi.com/files/RR.pdf
推定寿命から容量を算出
★RR 25V470μFの場合
・定格:105℃で 2,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均70℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=35℃
〇期待寿命:2,000×2^(35/10)=2,000×11=22,000時間
8,700時間÷22,000時間=0.395≒約39.5%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均60℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=45℃
〇期待寿命:2,000×2^(45/10)=2,000×22=44,000時間
4,300時間÷44,000時間=0.098≒約9.8%消耗
39.5%+9.8%=約49.3%消耗
寿命容量:470μF-(470μF×80%)=94μF
94μF×49.3%=46.3μF
470μF-46.3μF=423.7μF
LCR測定した結果427.6μFとほぼ一致しており、RZのような長寿命品ではなく2000時間品とみて良いと思います。
10000時間⇒2000時間のスペックダウン
AiSHi RZ 25V470μF ⇒ RR 25V470μF
更に・・・
⇓ 補助電源ボードとパラレルボードに実装されていたRZ25V470μF

容量はどちらも著しく低下しており、内部抵抗も異常な程高くなっています。
L2側の補助電源ボードとパラレルボードに実装されているものは、他の物と同等の劣化具合であることからL1側のみ異常であることから、劣化ではなくAiSHiというメーカーの品質が悪いという事になります(;´Д`)
この電解コンデンサは制御関係の至るところで使用されており、制御電源や通信が安定しない場合は真っ先に疑った方が良いと思います。
品質の問題が無ければ3~4年の寿命と言えますが、いつ壊れるかわからないような物は交換した方が良いです。
★代替について
形状はリードタイプ、寸法はφ8(標準品はφ10なので注意)、超低ESR・高リプル・長寿命の電解コンデンサ
25V470μF・105℃・8000時間・超低ESR・高リプル品
・Rubycon 25ZLR470MEFC8X16
③Samyoung NXA 25V220μF

https://samyoung.co.kr/download/product/miniature/NXA.pdf
仕様該当なし⇒実際の寸法はφ8×11.5mm
NXAは低ESR・高寿命品だが25V220μFのラインナップは無い…
25V220μFの容量とサイズから標準品のKMG・低ESRのNXCが一致する
⇓ 摘出したNXA25V220μFをLCR測定

100Hz⇒容量:203.3μF、ESR(Rs)413.4mΩ、Tanδ(D):0.0523
1kHz⇒容量:198.7μF、ESR(Rs)156.4mΩ、Tanδ(D):0.1953
10kHz⇒容量:193.7μF、ESR(Rs)127.3mΩ、Tanδ(D):1.5492
容量は203μFであることから容量偽装の可能性は無い
ESRも127.3mΩであることから低ESR品なのでNXCが濃厚。
https://samyoung.co.kr/download/miniature/NXC.pdf
推定寿命から容量を算出
★NXC 25V220μFの場合
・定格:105℃で 2,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均70℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=35℃
〇期待寿命:2,000×2^(35/10)=2,000×11=22,000時間
8,700時間÷22,000時間=0.395≒約39.5%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均60℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=45℃
〇期待寿命:2,000×2^(45/10)=2,000×22=44,000時間
4,300時間÷44,000時間=0.098≒約9.8%消耗
39.5%+9.8%=約49.3%消耗
寿命容量:220μF-(220μF×80%)=44μF
44μF×49.3%=21.7μF
220μF-21.7μF=198.3μF
実測値203.3μFとほぼ同等となりました(=゚ω゚)ノ
7000時間⇒2000時間のスペックダウン
Samyoung NXA 25V220μF ⇒ NXC 25V220μF
こちらも死んでいるコンデンサがありました…(;´Д`)
⇓ メインスイッチコネクタ横に実装されていた25V220μF

容量は9.646μFと著しく低下しており、内部抵抗も異常な程高くなっています。
筐体上部である事やインバーターヒートシンクの横という配置の為、熱の影響を受けている事は間違いなく、大型の電解コンデンサの横にあることからエアフロー的にも最悪の環境に実装されています。
品質が悪いという見方もできますが、L1側・L2側共に同じ場所の220μFが10μF程度となっている事から、環境だけではなく自己発熱も多いと思われます・・・(;´Д`)
その為、ここに限ってはNXA 25V220μFと同等のスペックではダメということになります。
2026/4/10訂正
メインスイッチ横は200V10μFが使用されており、こちらの確認ミスでした。
こちらもラインナップのない容量だったので汎用品を長寿命品に偽装しています。
この電解コンデンサは主にノイズ除去目的と思われますが、コントロールボードやメインボードの制御系に使用されており、比較的高温環境に実装されているので劣化が進んでおり、通常使用であれば3~4年で寿命となります。
★代替について
SamyoungのNXA25V220μFと同等ではダメです|д゚)
形状はリードタイプ、寸法はφ8(標準はφ10なので注意)、超低ESR・高リプル・長寿命の電解コンデンサ
35V220μF・105℃・10000時間・超低ESR・高リプル品
・Rubycon 35ZLJ220M8X16
④Samyoung NXH 35V100μF、50V100μF

https://samyoung.co.kr/download/product/miniature/NXH.pdf
35Vの仕様寸法はφ5×15mm⇒実際の寸法はφ6.3×11mm
50Vの仕様寸法はφ6.3×15mm⇒実際の寸法はφ8×11.5mm
NXHは高寿命・超低ESR品ですが、仕様の物より寸法が大きい。
容量に対してのサイズから標準品のKMGと低ESR品のNXPと一致する。
⇓ 摘出したNXH50V100μFをLCR測定

100Hz⇒容量:94.08μF、ESR(Rs)466.1mΩ、Tanδ(D):0.0276
1kHz⇒容量:92.70μF、ESR(Rs) 98.3mΩ、Tanδ(D):0.0582
10kHz⇒容量:97.68μF、ESR(Rs) 63.2mΩ、Tanδ(D):0.3876
ESR63.2mΩで低ESR品なのでNXPが濃厚。
https://samyoung.co.kr/download/product/miniature/NXP.pdf
推定寿命から容量を算出
★NXP 50V100μFの場合
・定格:105℃で 2,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均55℃(筐体上部)
〇温度差:Δ T=50℃
〇期待寿命:2,000×2^(50/10)=2,000×32=64,000時間
8,700時間÷64,000時間=0.136≒約13.6%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均45℃(筐体上部)
〇温度差:Δ T=60℃
〇期待寿命:2,000×2^(60/10)=2,000×64=128,000時間
4,300時間÷128,000時間=0.034≒約3.4%消耗
13.6%+3.4%=約17%消耗
寿命容量:100μF-(100μF×80%)=20μF
20μF×17%=3.4μF
100μF-3.4μF=96.6μF
実測値94.08μFとほぼ同等となります(=゚ω゚)ノ
6000時間⇒2000時間のスペックダウン
※50V100μFは8000時間⇒3000時間
Samyoung NXH 35V100μF ⇒ NXP 35V100μF
(50V100μFも同様)
メインボードの制御系に使用されており、比較的高温環境に実装されているので劣化が進んでおり、通常使用であれば3~4年で寿命となります。
★代替について
寸法はSP横の35V100μFはφ6.3、他は全てφ8のパターンなので35Vではなく50V品を使用した方が良いです。
形状はリードタイプ、低ESR・高リプル・長寿命の電解コンデンサ
35V100μF・105℃・10000時間・超低ESR・高リプル品
・Rubycon 35ZLH100MEFC6.3X11
50V100μF・105℃・10000時間・超低ESR・高リプル品
・Rubycon 50ZLH100MEFC8X11.5
⑤Samyoung NFK 200V100μF

https://samyoung.co.kr/download/product/miniature/NFK.pdf
NFKは中寿命・高リプル品で、寸法は仕様通り。
⇓ 摘出したNFK200V100μFをLCR測定

100Hz⇒容量:84.86μF、ESR(Rs)1.778Ω、Tanδ(D):0.0948
1kHz⇒容量:80.99μF、ESR(Rs) 1.004Ω、Tanδ(D):0.5111
10kHz⇒容量:62.78μF、ESR(Rs) 895.8mΩ、Tanδ(D):3.5335
Tanδの結果を見ると2000時間程度の寿命が妥当なのでNZEが濃厚
https://samyoung.co.kr/download/product/miniature/NZE.pdf
推定寿命から容量を算出
★NZE 200V100μFの場合
・定格:105℃で 2,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均70℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=35℃
〇期待寿命:2,000×2^(35/10)=2,000×11=22,000時間
8,700時間÷22,000時間=0.395≒約39.5%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均60℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=45℃
〇期待寿命:2,000×2^(45/10)=2,000×22=44,000時間
4,300時間÷44,000時間=0.098≒約9.8%消耗
39.5%+9.8%=約49.3%消耗
寿命容量:100μF-(100μF×80%)=20μF
20μF×49.3%=9.86μF
100μF-9.86μF=90.14μF
インバーターヒートシンクと制御電源生成MOSFETのヒートシンクに挟まれた極悪な環境に実装されおり、実測値84.86μFとの誤差は環境温度や自己発熱の差と思いますが、容量実測値もTanδも寿命末期と言える事から2000時間にスペックダウンしていると言えますね。
5000時間⇒2000時間のスペックダウン
Samyoung NFK 200V100μF ⇒ NZE 200V100μF
この電解コンデンサはバッテリーから制御電源を生成する時の一次平滑用と思われ、劣化すると制御全体に影響が出る可能性が高いです。
高温環境に実装されているので概ね1~2年で寿命となります。
★代替について
形状はリードタイプ、寸法はφ12.5、高リプル・長寿命の電解コンデンサ
200V100μF・105℃・12000時間・高リプル品
・Rubycon 200BXG100MEFC12.5X25
⑥Samyoung TDA 63V4700μF

https://samyoung.co.kr/download/large/TDA.pdf
仕様寸法はφ25.4×50mm⇒実際の寸法はφ22×50mm
TDAはバッテリー側の入力電力の平滑用で、寸法の違いからこちらも偽装されている事は間違いないです。
TDAは2000時間品で、バッテリー電圧最大60Vを考えると定格電圧は63Vより落とすことは考えられない。
⇓ 摘出したTDA63V4300μFをLCR測定

100Hz⇒容量:4.228mF、ESR(Rs)125.4mΩ、Tanδ(D):0.3333
1kHz⇒容量:4.069mF、ESR(Rs)107.3mΩ、Tanδ(D):2.7582
10kHz⇒容量:31.44mF、ESR(Rs)101.2mΩ、Tanδ(D):190.97
容量は4228μFあるので容量偽装の可能性はない。
10kHzでは正しく計測できない事から低ESR品でもない。
グレードを落とすには耐熱グレードを落とすしか考えられず、85℃品のRDAを偽装している可能性が高いです(;゚Д゚)
https://samyoung.co.kr/download/large/RDA.pdf
このコンデンサは基板下部に配置されていることから熱による影響は受けにくく、耐熱温度を下げている可能性は充分ある…(;´Д`)
推定寿命から容量を算出
★RDA 63V4700μFの場合
・定格:85℃で 2,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均45℃(筐体下部)
〇温度差:Δ T=40℃
〇期待寿命:2,000×2^(40/10)=2,000×16=16,000時間
8,700時間÷16,000時間=0.543≒約54.3%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均20℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=65℃
〇期待寿命:2,000×2^(65/10)=2,000×90=90,000時間
4,300時間÷90,000時間=0.047≒約4.7%消耗
54.3%+4.7%=約59%消耗
寿命容量:4700μF-(4700μF×80%)=940μF
940μF×59%=554μF
4700μF-554μF=4146μF
RDAの計算値と測定値4228μF(4.228mF)がほぼ一致しています・・・(;゚Д゚)
105℃⇒85℃のスペックダウン
Samyoung TDA 63V4700μF⇒RDA 63V4700μF
この電解コンデンサはバッテリーの平滑用と思われ、劣化すると150Aという大電流を受け止めることができずMOSFETが焼損する可能性があります。
バッテリー入出力の平滑用である為、メインボードの下部に実装されており、恐らく2~3年で寿命となります。
★代替について
形状はリードタイプ、寸法はφ25、高リプル・長寿命の電解コンデンサ
63V4700μF・105℃・5000時間・高リプル品
・ニチコン LGY1J472MELA50
⑦Samyoung NFA 500V68μF・500V83μF

https://samyoung.co.kr/download/product/miniature/NFA.pdf
68μFの仕様寸法は問題なし
82μFの仕様寸法はφ25.4×30mm⇒実際の寸法はφ18×40mm
NFAは、高寿命・高リプル品だが、500V83μFというラインナップがない・・・
NZEの容量及びサイズが一致し、83μFではなく82μFとなる。
⇓ NFA500V83μFをインラインでLCR測定

100Hz⇒容量:73.24μF、ESR(Rs)1.924Ω、Tanδ(D):0.0885
1kHz⇒容量:71.57μF、ESR(Rs) 1.406Ω、Tanδ(D):0.6324
10kHz⇒容量:53.88μF、ESR(Rs) 1.455Ω、Tanδ(D):4.9252
推定寿命から容量を算出
★NZE 500V82μFの場合
・定格:105℃で 2,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均55℃(筐体上部)
〇温度差:Δ T=50℃
〇期待寿命:2,000×2^(50/10)=2,000×32=64,000時間
8,700時間÷64,000時間=0.136≒約13.6%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均45℃(筐体上部)
〇温度差:Δ T=60℃
〇期待寿命:2,000×2^(60/10)=2,000×64=128,000時間
4,300時間÷128,000時間=0.034≒約3.4%消耗
13.6%+3.4%=約17%消耗
寿命容量:82μF-(82μF×80%)=16.4μF
16.4μF×17%=2.8μF
82μF-2.8μF=79.2μF
筐体最上部に実装されおり、実測値73.24μFとの誤差は環境温度や自己発熱の差と思いますが、高周波帯域ではTanδの上昇と容量低下が大きいので寿命と思われ、容量実測値が算出した推定寿命よりも低い事から2000時間品のNZEが濃厚
10000時間⇒2000時間のスペックダウン
Samyoung NFA 500V68μF ⇒ NZE 500V68μF
(500V83μFも同様)
補助電源入力部に使用されており、メインボードの上部に実装されているので劣化が進んでおり1~2年で寿命となります。
★代替について
形状はリードタイプ、高リプル・長寿命の電解コンデンサ
500V68μF・寸法はφ16・105℃・12000時間・高リプル品
500LXW68MEFR16X40
500V68μF・寸法はφ18・105℃・12000時間・高リプル品
500LXW82MEFR18X40
⑧Samyoung TLC 500V470μF

https://samyoung.co.kr/download/product/large/TLC.pdf
仕様該当なし⇒実際の寸法はφ35×60mm
TLCは高寿命品ですが470μFのラインナップは無い…
⇓ TLC500V470μFをインラインでLCR測定

470μF×2並列⇒940μF
100Hz⇒容量:834.7μF、ESR(Rs)264.0mΩ、Tanδ(D):0.1385
1kHz⇒容量:791.3μF、ESR(Rs) 468.9mΩ、Tanδ(D):2.3311
10kHz⇒容量:483.4μF、ESR(Rs) 236.3mΩ、Tanδ(D):7.1763
834.7μF(1個あたり417μF)なので容量偽装の疑いは無い。
Tanδが既に寿命であることからTDCが濃厚
https://samyoung.co.kr/download/product/large/TDC.pdf
推定寿命から容量を算出
★TDC 500V470μFの場合
・定格:105℃で 2,000 時間
・1年間標準冷却で24時間フル稼働(約8,700時間)
〇個体温度:平均70℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=35℃
〇期待寿命:2,000×2^(35/10)=2,000×11=22,000時間
8,700時間÷22,000時間=0.395≒約39.5%消耗
・1年間強制冷却で12時間稼働(約4,300時間)
〇個体温度:平均60℃(ACコイル付近)
〇温度差:Δ T=45℃
〇期待寿命:2,000×2^(45/10)=2,000×22=44,000時間
4,300時間÷44,000時間=0.098≒約9.8%消耗
39.5%+9.8%=約49.3%消耗
寿命容量:470μF-(470μF×80%)=94μF
94μF×49.3%=46.3μF
470μF-46.3μF=423.7μF
423.7μF×2=847.2μF
推定寿命から算出した容量と実測容量834.7μFがほぼ一致している事からTDCが濃厚
5000時間⇒2000時間のスペックダウン
Samyoung TLC 500V470μF ⇒ TDC 500V470μF
システムバスに使用されており、全ての電解コンデンサの劣化のシワ寄せが来る場所で、高温環境に実装されている事もあり劣化が進んでおり1~2年で寿命となります。
★代替について
形状はリードタイプ、寸法はφ35、高リプル・長寿命の電解コンデンサ
500V470μF・105℃・5000時間・高リプル品
日本ケミコン ELXS501VSN471MA60S
ニチコン LGX2H471MELC58
まとめ
★実装品の実態
実装されているものは全般的に1000時間~2000時間程度の物にグレードダウンされており、特に熱の影響を受ける箇所については稼働時間にもよるが、ASF/ASPやHFP/HYPのようにタイムスロットを使用して24時間稼働させていれば1~2年程度、バイパス出力を使用せず太陽光のみで稼働させていれば3~4年程度で寿命を迎える構成になっています。
※電解コンデンサ劣化の兆候
・電圧・電流のハンチング⇒電圧や電流の異常な変動
・漏れ電流の増加⇒AC入力がグリッドに接続されている場合漏電ブレーカーの作動
・電解コンデンサやコイルやMOSFETやIGBTの温度上昇⇒明らかな温度上昇
★推奨代替品
25V470μF、63V4700μF、500V68μF、500V470μFはスペックダウンしていますが、定格寿命が実装されているものよりも長寿命品なので、実質的にはスペックアップになります。
部品代は1台あたり2万円程度(=゚ω゚)ノ
推定寿命はSMD4000時間が最低かつ最も高温環境となるので、単純に考えても1000時間⇒4000時間で4倍になり8年となるのですが、実質的には高リプル・超低ESR品なので10年以上は持つでしょう(´艸`*)
ちなみに当方は先走って購入したパーツで修理したので4年程度したらオーバーホールが必要ですね(;´Д`)
★代替品入手先
マルツオンラインで全て購入可能です。
納期は在庫次第で、欠品していると数週間~半年…
小型の電解コンデンサなら1個数十円~200円程度
中型の電解コンデンサなら1個数百円~1500円程度
大型の電解コンデンサは1個4500円程度
63V4700μFはマルツで1500円程度なので、秋月電子通商で63MXG4700MEFCSN25X35(生産中止品)300円程度で入手した方が定格寿命は2000時間ですが断然コスパは良いです。
⇓ ラベル表示と同一メーカーの製品でLCR測定結果から個人的に推測したもの
当方の代替した製品とオススメ製品の仕様 ⇑
※電解コンデンサ交換の際の注意事項
1.電解コンデンサの残留電荷を放電させる事!
残留電荷の放電方法
①本体のメインスイッチ(筐体下側)をオフにする。
②全ての入力を遮断(ブレーカー)し、各端子の電圧を測定して確認。
※この時バッテリー端子は電圧が残っています。
③本体のメインスイッチをオンにする。
※バッテリー端子の電圧が徐々に下がっていきます。
⇓ 2.3Vでは感電リスクは無くても、短絡による部品へのダメージはあります

メインスイッチを投入すると、一番容量の大きいバッテリー平滑のコンデンサから電力供給して制御電源が立ち上がるので、一気に各部の電解コンデンサの残留電荷を消費するので、バッテリー端子で0.1V未満まで低下していれば問題は無いです。
⇓ 0.1V未満まで低下したので解体作業を開始

2.コーティング樹脂は必ず削り取る事!
基板全面に樹脂で絶縁コーティングがされているので、ハンダゴテを当てると樹脂が焦げ絶縁性能が低下し漏電リスクが高くなるので、ハンダを当てる箇所のコーティングを事前に削り落とす必要があります。
精密ドライバーの⊖等で削ればよいですが、コーティングが厚い場合は削るよりもマイナスドライバー等を押し当てて圧力で樹脂を割った方が早いです。
⇓ 交換する電解コンデンサのパターン上のコーティングを剥がした状態

3.交換後は必ず確認する事!
①固定状況(ハンダで電解コンデンサがしっかり固定されているかどうか)
②電解コンデンサの極性が間違いないか確認
③LCR測定(交換前の測定結果を事前に記録しておき比較)
ESRの増大や高周波帯域での容量の低下が無ければOK
4.交換後は絶縁コーティングをする事!
ハイブリッドインバーター内部はファンによるエアフローによって埃が内部に入りやすい為、埃と湿気によってDC500Vという高電圧の回路が漏電すると火災に発展して超危険なので、コンデンサ交換後は基板両面の絶縁コーティングが必須となります。
汚れや樹脂の焦げが残っていると絶縁性能が低下するので、無水エタノールを使用して清掃後にコーティング剤を塗布します。
当方は基板からの熱伝導を避ける為に、電解コンデンサを10mm程度浮かして実装させたので、電解コンデンサの固定接着を兼ねて信越シリコーンのKE45を使用。
放熱や耐熱といった性能は無いので電解コンデンサの側面につかないように注意する。
5.常設前に慣らし運転をする事!
一通り接続が済んだら最終仕上げは動作試験です。
ただ一般ユーザーの購入できる電解コンデンサは、製造されてから数年間商社で眠っているようなものが殆どで、長期間通電されていない状態だと酸化被膜が薄くなって漏れ電流が大きくなる為、エージングという慣らし作業によって酸化被膜を再化成させる必要があります。
慣らし運転(エージング)の作業手順
※必ずメインスイッチオフの状態で行う事。
①メインスイッチはオフの状態でバッテリー電源を投入し30分以上放置
②日没後PV入力を投入(メインスイッチはオフのまま)
※PVの開放電圧を利用してエージングを行うので、開放電圧に達するまで放置
DCバスの定格500V電解コンデンサは120V以上で450Vまで昇圧されますが、PV入力側の定格500V電解コンデンサについては開放電圧までしっかりエージングされます。
③PVによるエージングが完了したらAC入力を投入し30分以上放置
ココまででコンデンサやコイルの異常な温度上昇や異音・異臭が無ければ…
④メインスイッチ投入
コントロールボードが静電気等でヤラレていなければ、オーバーホール前の設定のまま残っていますが、念のため設定をリセットした方が良いでしょう。
⑤各設定を確認し、エラーが出ていないことを確認
⑥無負荷運転で各電圧・電流・周波数の安定を確認
6時間程度問題なく動作すれば、慣らし運転は完了(=゚ω゚)ノ
★電解コンデンサ交換で寿命はどうなる|д゚)?
実質的には交換のタイミング次第と言えます。
最善は購入直後すぐに交換、又は数ヶ月使用して交換。
保証期間内の方であれば、基板交換する際に全コンデンサを取替えるのが一番ですね。
新品同様で電解コンデンサを一新してしまえば、10年稼働も可能と言えます。
当方のように使い込んでメーカー保証も切れてコンデンサ寿命によって異常が出た場合、MOSFETやIGBTの寿命もかなり削られてしまっているので、いくら電解コンデンサを一新したところでトータル10年使用する事はできません・・・(ノД`)・゜・。
ただ寿命は短命でもMOSFETやIGBTが寿命を迎えた際の火災リスクは低減されます。