まだバッテリーについて何も知識が無かった頃
「インバーター増設で高出力機器も」
「こたつ500W2時間」
「一般的な大容量ポータブル電源とは違う圧倒的な大容量1200Wh」
「増設も増量もできる」
という謳い文句の
鉛バッテリー内蔵型ポタ電
を購入してしまいました(;´Д`)・・・
ポータブル電源の詳細
※販売業者のコピペです
容量:1200wh (鉛バッテリー)
出力:
パワーソケット×1
デュアルUSB 1.1A ×1 2.1A×1
シガーソケット DC 12V ×2
アンダーソンコネクタ(in/out) 5V-15V ×2
インバーター:
定格出力:500W
入力:DC 10.2-13.8V
出力電圧:110V+-10%
出力周波数:50Hz/60Hz
出力波:補正正弦波
保護機能:低電圧、高温保護、オーバーロード、逆流防止、電圧超過保護
サーキットブレーカー :10A
冷却:ファン
キャリーハンドル・ストラップ・固定用ブラケット付属
素材:高強度ポリプロピレン
サイズ:幅405mm x 厚み246mm x 高さ295mm
バッテリー残量インディケータ付
収納可能バッテリータイプ:鉛バッテリー(12V)リチウムバッテリー(12V) バッテリー最大収納サイズ:330×190×230mm
バッテリー最大収納重量:35KG
まずは大容量が売りのバッテリーについて深堀していきましょう(=゚ω゚)ノ
☆容量1200Whの鉛バッテリー
⇓ 内蔵されているMR31というディープサイクルバッテリーの注意書き

このバッテリーは密閉型なので通常は水素ガスが出ることはありませんが、過充電した場合など一定以上の水素ガスが発生すると横の小さな穴から水素ガスを放出します。
その為、火気があれば引火・爆発の危険があり、充電は風通しの良いところで行うようにバッテリーにも注意喚起のラベルが貼ってあります。
また、内部には希硫酸が入っている為、転倒すればその穴から希硫酸が漏れる可能性があります。
近年はリチウムイオンバッテリーが発火や爆発で危険視されていますが、鉛バッテリーも取り扱い次第では充分危険なんですよね…
こんな危険なもの室内では怖くて使えませんね・・・
12V100Ahのディープサイクルバッテリーの放電能力は20時間率で100Ahなので、1時間当たりの能力は
放電電流 100Ah÷20h=5A
放電電力 12V×5A=60W
これよりも小さい負荷であれば100Ah以上の電力を引き出せるが、これよりも大きい負荷であれば100Ah未満しか使用できません。
仮に500Wの機器をインバーターで使用した場合・・・

500Wのこたつなんて数分しか使えない
ってことです。
当然、インバーター増設で高出力機器を使用なんてことをしたら・・・最悪即停止です。
数値上は1200Whという大容量に見えても、内部抵抗が大きく電圧降下も大きいので、60W以上の機器を使用する場合は負荷の大きさに比例して実効容量が減る為、リチウムイオンバッテリー搭載のポータブル電源のよりも使えないと思って良く、一般のポータブル電源の容量の大きさと比較すること自体が間違いです。
また、バッテリーには個体差があり容量や劣化具合によって内部抵抗が変化します。
バッテリーを並列接続した場合、バッテリーの個体差によって循環電流や充放電の不均衡が起こり、単体で使用するよりも寿命が短くなります。
リチウムイオンバッテリーのようにBMSによってバッテリー全体を管理していれば良いのですが、単純に鉛バッテリーを並列接続しても過放電や過充電といったデメリットしかありません。
何の対策も無く鉛バッテリーの増設や増量はしない方が良いですね。
次はポータブル電源ぽい出力について深堀します(=゚ω゚)ノ
☆パワーソケット
⇓ パワーソケットと記載のあるものが、恐らくコレ

ケース背面に蝶ねじタイプの端子が露出しており、接続するケーブル側の接続端子が露出する構造の為、短絡の危険があり取扱いには注意が必要です。
※一応蝶ネジには絶縁コーティングがされています
この端子の裏側でアンダーソンコネクタやシガーソケットやインバーターに分岐しており、バッテリーへヒューズも無く105℃耐熱8AWG規格の電線で直結されます。
⇓ 蓋の裏側にインバーター基板が固定されている

※インバーター基板は樹脂製の仕切り板で直接触れられないように配慮されています
このポータブル電源だけで使用する分には問題にはならないのですが、
「インバーター増設で高出力機器も」と記載があれば、この内蔵している500Wのインバーターよりも高出力のインバーターを増設しても良いと錯覚してしまいます。
仮に1500Wクラスのインバーターを接続して消費電力1400Wの負荷を使用した場合、この端子には100A以上の大電流が流れます。
この端子はバッテリーと直結されているだけで、電線を保護するためのヒューズやブレーカーが無いので、許容電流を超える電流を電線に流し続けると発熱により絶縁性能が低下し、短絡すれば発火する可能性があります。
これがもし水素ガスの発生している状態だった場合、直上のインバーターが発火した瞬間爆発する事も充分あります。
☆デュアルUSB及びシガーソケット
⇓ 左から電圧計・USBソケット・シガーソケット・シガーソケット

シガーソケットやUSBソケットの電線は2sq程度で、左側面の16Aサーキットブレーカーで保護されている為、ココについては問題はありません。
☆アンダーソンコネクタ
アンダーソンコネクタ本体の許容電流は50Aですが、使用されている電線は耐熱105℃4sqで30Aヒューズで保護しているので、最大30Aの入出力になります。
ただ注意点として、このアンダーソンコネクタを使用してバッテリーを増設し、1000W以上のインバーターで800W以上の機器を使用した場合、内部のヒューズが切れる可能性があります。
☆インバーター
出力500Wのインバーターは入力最大電流50Aです。
基板上に50Aヒューズ2個並列で直付け(実質100A)ですが、使用されている電線は4sqなので、このヒューズはインバーターの短絡保護であって、電線保護用途ではありません。
⇓ 50Aヒューズが並列で実装されている

その為、軽負荷であれば問題ないのですが、500W程度の負荷を常用すると電線が高温となり劣化する可能性があります。
⇓ インバーター基板

拡張ボードが直付けされていて、部品等の詳細が不明だったので、拡張ボードを取り外しました。
⇓ 拡張ボードを撤去したメインボード

メインボード左側:バッテリー入力部
バッテリーから入力された電力は、50Aヒューズ(インバーター保護用)2個並列を通って16V3300μF(φ13×Max40mm)が3並列された電解コンデンサで平滑され、ヒートシンク上部左側のMOSFET(G020N04)4個並列で分散(分散する事でMOSFETの負担を軽減)して高周波パルスを生成し絶縁トランスの一次側へ送ります。
ココでの注意点
鉛バッテリーの最大電圧は14.4VでLFPの最大電圧は14.6Vなので、電解コンデンサの定格電圧は 14.4V÷80%≦18V以上 となります。
恐らくコストカットで定格電圧を下げていると思いますが、定格電圧16Vの電解コンデンサでは定格電圧不足なので劣化しやすくなります。
⇓ バッテリー側平滑用の電解コンデンサ16V3300μF

電解コンデンサは全てChongxという中国メーカー品で統一されており、一応ラベル上は低ESR品となっていますが、資料が無い為低ESRかどうかはLCR測定して判定する程度しかできません。
⇓ BT入力:16V3300μF×3をインラインでLCR測定した結果

・容量(C) 7.867mF≒7867μF
公称総容量 3300μF×3=9900μF
容量率 7867μF÷9900μF=79.5%
105℃1000時間~2000時間の定格寿命ですが、スペック上の寿命末期と同等の劣化が、わずか200時間という短時間で起こっているということは極めて異常であり、定格電圧16Vというアンバランス設計、もしくはコスト重視で設計マージンを削っているかのどちらかになります。
・ESR 15.5mΩ
1個当たりの抵抗値 15.5mΩ×3=46.5mΩ
100mΩ以下なので低ESR品で間違いは無さそうです。
代替推奨:Rubycon ZLQ 25V3300μF(φ12.5x35)定格リプル3.8A、ESR0.011Ω
1個¥530程度 ×3個 ⇒ ¥1600程度
また、2個実装されている50AヒューズはMaxで使用しなければ1個外しても問題は無いと思います。
メインボード中央:DCバス
絶縁トランスによって昇圧されたパルス電力は、ヒートシンク上部中央の高速リカバリダイオード(MURF1660CTR)2個によって全波整流され平滑用電解コンデンサ450V100μF(φ18×Max40mm)で安定させ、ヒートシンク上部右側のIGBT(BT40T60)4個の単相フルブリッジによって交流に変換されます。
ココでの注意点
500Wの出力に対しては250~500μFの容量が妥当で、恐らくコストカットで100μFが使用されていると思いますが、負荷が大きくなると電圧低下によるシャットダウン及び再起動の回数が増えシステム全体に悪影響を与えます。

定格電圧は出力電圧AC220Vと共通化している可能性が高く、
AC220V×1.414=DC311V
DC311V÷80%≦388V≒400V
マージン又はリプルを稼ぐために定格電圧450Vとなっていると思われます。
⇓ DCバス:450V100μFをインラインでLCR測定した結果

・容量(C) 67.03μF
容量率 67.03μF÷100μF=67.0%
こちらも既に寿命を迎え、67%まで低下しており、容量不足であることが証明されています。
・ESR 540.4mΩ
1Ω以下なので低ESR品で間違いは無さそうです。
通常であれば容量が足りなければ数個並列接続して容量及び低ESRを稼ぐのですが、何故500WクラスのインバーターのDCバスに、電解コンデンサが1個しかないというこのような設計になっているのか(;´・ω・)?
これは100W程度のインバーター基板を流用し、無理やり500Wインバーターにしていると仮説を立てれば全てが繋がります。
この基板が100Wクラスのインバーター基板で、部品を500Wインバーター用にグレードアップすると、MOSFETやダイオードやIGBTはサイズ的には変わらないので、そのままポン付けで済むのですが、電解コンデンサが物理的にネックとなります。
100Wクラスの入力側電解コンデンサは25V1500μF(φ12.5x20)x3程度から、500Wクラスの最低限容量を確保する為に、定格電圧を下げて容量を確保して16V3300μF(φ12.5x25)を選定したと想定できます。
また、100WクラスのDCバス電解コンデンサは100μFで充分ですが、500Wクラスになると500μF近く必要となり、1個しか取付できないので容量増設を諦めたと考えられます。
ただ、110V±10V出力であれば定格電圧を下げて容量増加は可能と思われます。
AC120V×1.414=DC170V
DC170V÷80%≦212V≒220V以上
定格電圧を変えない場合・・・
代替推奨:Rubycon AEW 450V240μF(φ18x45)定格リプル1.32A
1個¥1300程度
定格電圧を変えて容量アップする場合・・・
代替推奨:Rubycon BXW 250V470μF(φ18x50)定格リプル1.83A
1個¥1400程度 ※ヒートシンクよりも5mm高くなるので仕切り板に干渉しますが設置は可能
つまり、基本設計100Wのインバーターをパーツ交換のみで500W仕様に拡張した可能性が高く、電解コンデンサの定格電圧や容量が犠牲となった結果、急速な劣化を招いていると推測できます。
メインボード右側:AC出力部
右側のチョークコイル及びACコンデンサ(275VAC2.2μF)で構成されたLCフィルターによって高周波パルスを正弦波へ成形し、その下の小さいコイルと小さいACコンデンサ(275V0.22μF)で構成されたEMIフィルターによってスイッチングノイズを吸収し、AC110Vとしてコンセントへ出力します。
メインボード下部:制御部
左側に警報用のスピーカーが実装されており、中央辺りにはFAN出力用のコネクタが実装されています。
JP2にはコネクタではなくサーミスタが直付けされており、その右側にはZMPT(電圧計)が実装され、更に出力末端にはZMCT(電流計)が実装されています。
絶縁トランス右下にはL7815CV(15V生成レギュレーター)がヒートシンクも無く実装されており、基板全体の熱劣化を加速させ、故障率を高める要因となります。
その下にある35V100μF(φ6.3)はレギュレーターの二次側平滑用の電解コンデンサでしょう。
他の2つの電解コンデンサは63V100μF(φ8)で、拡張ボード用かな(;´・ω・)?
⇓ 絶縁トランス右側の拡張ボード(17pin)表面

実装されている電解コンデンサはSMDの25V22μF(φ5)4個と35V10μF(φ4)2個。
STM8S103K3T6C(8bitマイコン)は正弦波生成を担い、IR2113Sを2個使用してIGBTとMOSFETを制御していると思われます。
LM358は交流出力された電流電圧波形をマイコンが処理しやすいように信号を調整し、LM393は過電流や過電圧が生じたときに遮断する保護回路と思われます。
つまり、このインバーターの頭脳ですね。
⇓ 中央下側の拡張ボード(10pin)表面

実装されている電解コンデンサは50V22μF(φ5)1個と63V100μF(φ8)4個。
このボードには78M12(U2)が載っており、恐らくメインボードのL7815CVで生成された15Vから12Vを生成していると思われる。
更に78L05(U3)も載っており、5Vも生成されているようです。
先ほどの17pinの拡張ボードには電圧生成レギュレーターは実装されていなかったことから、STM8S等の電源はこちらのボードで生成した5Vで駆動していると思われます。
UC3843AはPWMコントローラーで、補助トランスを駆動して17pinの拡張ボードで生成されているゲートドライブ回路に78M12(U2)で生成した独立電源を供給していると思われます。
⇓ 絶縁トランス下側の拡張ボード(16pin)表面

実装されている電解コンデンサはSMDの25V22μF(φ5)2個。
電源入力は1pin(12V)・2pin(GND)で、78L05から5Vを生成しSTM8S103K3T6C(8bitマイコン)等へ電源を供給しているようです。
LM324(4回路オペアンプ)で3pin(BAT)・10pin(Temp)からのアナログ信号をSTM8Sへ送信していると思われます。
HLW8032(電力測定)で12pin(CT)・13pin(PT)のデータから電力を計算しており、TXから15pin(TX)とSTM8SのRXへ出力し、PFから16pin(RX)へ出力している。
STM8Sは9pin(S-O)・11pin(FAN)へ出力し、SG3525A(PWMコントローラー)を介して4pin(OUTA)・5pin(OUTB)へ出力していると思われる。
⇓ 絶縁トランス下側の拡張ボード(16pin)の裏側

端子について
①12V :10pinの拡張ボードから電源供給されています。
②⑥⑦⑭GND :すべて共通です。
③BAT :バッテリー入力でヒューズ二次側電圧の監視用です。
④⑤OUTA/OUTB:絶縁トランス左側の回路に接続・・・?
⑧ :10pinの拡張ボード下のフォトカプラに接続・・・?
⑨S-O :保護作動時にスピーカー出力
⑩Temp :スピーカー横のRT1へ繋がっており無効
⑪FAN :メインボードでは接続されておらず無効
※メインボード上のFANコネクタは7815から直接電源供給されている
⑫CT :ZMCTに接続されており、出力電流監視用です。
⑬PT :ZMPTに接続されており、出力電圧監視用です。
⑮⑯TX・RX :メインボードでは接続されておらず無効
TX/RXで17pinの拡張ボードと通信していると思っていましたが、8pinの信号でエラーを出している可能性があり、エラーを感知するとソフトオフを掛ける気がします。
あくまでもメイン制御は17pinの拡張ボードで、10pinの拡張ボードは電源ユニット、16pin拡張ボードは、エラー判定用という位置付けのようです。
このポータブル電源には何もモニターが無く、ユーザーに対してブラックボックス化しているので、使用されていないTX/RXをハッキングするだけで格段に使い勝手が良くなりそうです。
HLW8032のTX(6pin)と拡張ボード端子のTX(15pin)が接続されており、HLW8032のPF(7pin)と拡張ボード端子のRX(16pin)が接続されているので、RX端子は入力ではなく出力となっています。
HLW8032のTXは一定周期でデータを吐き続けるチップなので、ここから電圧・電流・電力といったデータが取得できそうです。
ポート設定(推測)
・ボーレート :4800bps
・データビット :8
・ストップビット:1
・パリティ :Even(偶数)
このポタ電の実態が分かったところで
ここからが本題(=゚ω゚)ノ
☆コンプレッサーが壊れた原因
さて、コイツからハイブリッドコンプレッサー(550W)に電源を供給して
PV(DC)⇒ ポタ(インバーターDC/AC)⇒ コンプレッサー(AC/DC)
という非効率な使い方をしていたわけですが・・・
550Wのコンプレッサーなので、500Wのインバーターで稼働させると、当然インバーターが過負荷で停止する為、コンプレッサーは能力を50%に設定して使用していました。
msn-06s.hatenablog.jp
何故かコンプレッサーが低電圧で停止して、復帰後にコンプレッサーが起動せず・・・
暫くしてコンプレッサーが起動したと同時に、ソレノイドバルブが開きっぱなしになり故障が発覚しました。
msn-06s.hatenablog.jp
コンプレッサーの故障箇所はソレノイドバルブ制御用のトランジスタで、その故障が原因で起動せず、トランジスタの経路にある抵抗が焼き切れて再起動と同時にソレノイドバルブが開きっぱなしになったというのが、Geminiの出した結論で、当方も状況的にその推論が正しいと思っています。
msn-06s.hatenablog.jp
ただ、コンプレッサー自体が低電圧エラーとなるのはおかしいんですよね・・・
インバーター出力は110Vで、このエアーコンプレッサーのAC入力は一応国内のコンセントでも問題なく動作するように定格100Vとされていますが、実際に使用されているスイッチング電源は入力AC115V/出力24V600Wで供給しているので、中華インバーターとの電圧的な相性は良くインバーターが停止しない限り低電圧になる事はありません。
つまり低電圧エラーが出たのは、コンデンサが異常に劣化したインバーターが原因であることが濃厚です。
そもそもがこのポタ電が高出力に向かないディープサイクルバッテリー1200Wh程度で、500Wのインバーターを使用するといった設計自体に無理がある。
また内蔵されているインバーターも、とても500W出力を満足に満たすようなものではない事が判明している。
このポータブル電源に内蔵されている500Wのインバーターで、コンプレッサーの半分の電力275Wの機器を使用した場合、インバーターの損失(80%)を含めると
275W÷80%=343W
343W÷12V=28.6A
このディープサイクルバッテリーの放電能力の約2倍の電流を引き出すことになります。
この場合、プーカルト効果によって2.5時間率で約71Ah程度まで低下します。
実際にはバッテリーの経年劣化や周囲温度による内部抵抗の変化によって実効容量は変化します。
また、実効容量だけでなく容量が少なくなる程内部抵抗の増加によって端子電圧が低下するので、同じ負荷でも容量が少ない時ほど電流を多く必要とします。
つまり、
満充電時:12.8Vの場合は、343W÷12.8V=26.8A
過放電時:10.2Vの場合は、343W÷10.2V=33.6A
となり、バッテリーへの負担は更に大きくなります。
インバーターの負荷率は275W÷500W=55%と余裕があるのですが、電解コンデンサの設計定格電圧不足から200時間という短時間で入力コンデンサの容量が79%まで低下した結果、入力電流がハンチングを起こしていると推測できます。
ディープサイクルバッテリー故にバッテリーの内部抵抗による電圧降下でインバーターの低電圧保護が作動しても、すぐに電圧が回復する。
通常はDCバス平滑コンデンサで持ち堪えられるほどの瞬停でも、こちらも設計容量不足によって200時間という短期間で67%まで容量が低下しており、その劣化によって瞬断と再起動を繰り返すような激しい電圧変動を起こし、コンプレッサー側のスイッチング電源で供給電圧が不安定となり、一番弱いソレノイドバルブのトランジスタを破壊したと推測します。
つまり、このポータブル電源に内蔵されているインバーターに実装された電解コンデンサが、使用時間たった200時間という短い期間で急速に劣化していた事と、低出力向けのディープサイクルバッテリーに高出力させたことにより急激な電圧降下が発生し、短時間に停止⇒再起動という動作が起こった結果、不安定な電圧によりコンプレッサーの一番弱い回路を破壊したというシナリオとなる。
という訳で、この鉛バッテリ―内蔵型ポタ電は、コスト優先で安全性及び耐久性に欠ける設計故に、ハイブリッドエアーコンプレッサーが故障した可能性が高い。
この検証結果を知っていたら
こんなもの絶対に購入しない
です|д゚)…
☆ポタ電の調査結果
★安全性
バッテリーに直結しているパワーコネクタと呼ばれる大電流端子については、サーキットブレーカーやヒューズの電線保護が無いのが致命的で、端子が露出する構造は問題ありです。
インバーターの電線に関しては、基板に直付けされたヒューズでは電線が保護できず、電線保護用のサーキットブレーカーやヒューズが無いのも問題です。
またこのような問題があるものを、水素ガスの発生する鉛バッテリーの上に配置しているのも問題があります。
★耐久性
インバーターの耐久性は100Wクラスのものをムリヤリ500W出力化しているとみられ、100W以上の運用はしない方が良く、それでも電解コンデンサの定格電圧不足から寿命は著しく低下する。
全般的にコスパ重視の耐久性の低い電解コンデンサが使用されているので、耐久性は期待できません。
☆安全対策
バッテリーとポータブル電源の接続ケーブルの間に40Aのヒューズ又はサーキットブレーカーを取り付ければ安全性は確保できます。
フルスペックで使用したいなら電線を太くし電線に見合ったヒューズやサーキットブレーカーを取り付け、バッテリーもリン酸鉄リチウムイオンバッテリーに交換すれば良いです。
また、今回の当方のエアーコンプレッサーのように、このインバーターを使用した結果機器が故障するといった現象は、安価な中華製インバーター全般に言える事だと思いますが、コスト重視で低品質かつマージンを削った設計で選定された電解コンデンサが要因となっているため、国産電解コンデンサへの交換を推奨します。
また、とても500W使えるようなものではないので、せいぜい100W程度の使用に制限することですね。
※分解・改造を行うとメーカーの保証が一切受けられなくなるだけでなく、感電、発火、爆発などの重大な事故につながる恐れがあります。
※万が一、本記事の内容を参考に作業を行い事故や損害が発生しても、筆者は一切の責任を負いかねます。必ず自己責任で作業を行ってください。