以前、EVの電費を良くする乗り方について
記事にしましたが・・・
msn-06s.hatenablog.jp
2024年からリーフのモニターを始め、今年で丸2年となりました。
★航続距離はどうなった?
以前までは回生ブレーキを多用するような乗り方をしていましたが、2026年3月以降は、上記記事のような乗り方に変えています(=゚ω゚)ノ
⇓ 月別の電費の推移

月別平均でみると確実に昨年よりも電費は向上しています♪
2026年3月以降はどの月も平均電費以上の電費になっており、
全般的に前年比で0.5km/kWh以上増加しています。
最も電費の良い月は例年10月なので、来月に期待したい♪
⇓ 日別の電費の推移

日別平均でみると2026年3月以降は5km/kWh以下になっていないのが判ります。
気温の影響もありますが、全般的には平均値以上の日が多くなったように思います。
ちなみにエアコンは常時ONで、OFFにしたことはありません。
最大値の13km/kWhという高電費は、加速してほぼ惰性だけで走行して目的地に辿り着くような理想的な走り方をした日のデータです。
⇓ 充電以後の平均電費は14.2km/kWh、t@13.33km/kWhは1起動あたりの平均電費

インパネに表示される航続距離は、直近の電費を基に算出されていますが・・・
⇓ 満充電にした際の航続距離表示

⇓ この満充電した日にSOC20%まで走行した時のデータ

満充電でインパネの残量は100%ですが、SOCでは99.1%となっています。
容量率 :SOC99.1%-20.8%⇒78.3%
走行距離:35,480km-35,157km⇒323km
予想航続距離:323km÷78.3%⇒412.5km
満充電で航続距離419kmとインパネに表示されて、実際に走行したデータから算出した予想航続距離が412.5kmと6.5km差なので、インパネ表示はそこそこ信用しても良さそうですね。
当方のリーフは3年目で上記画像でも判るようにSOH85.5%まで低下し、既にセグ欠け目前の状態でした⊂⌒~⊃。Д。)⊃
⇓ セグ欠け1段階目はSOH85%です・・・

⇓ 6月調整真っ最中に満充電してSOC20%まで走行した時のデータ

SOH調整中なのでSOHは1%近く減少していますが・・・
容量率 :SOC96.7%-25.5%⇒71.2%
走行距離 :32,489km-32,174km⇒315km
予想航続距離:315km÷71.2%⇒442.4km
実際の航続距離と遜色のないと言われているWLTCの航続距離450kmと、SOH約87%の段階で実際に走行したデータから算出した予想航続距離442kmが良い勝負になっています。

出典 2022年~日産リーフ(ZE1)カタログ
WLTCの航続距離450kmの電費は、450km÷60kWh⇒7.5km/kWh
上記LeafSPYのデータを使って計算すると
使用容量:60kWh×SOH87%×71.2%⇒37.16kWh
電費 :315km/37.16kWh⇒8.47km/kWh
バッテリー温度が25℃程度で、WLTCの測定基準は25℃と同等の環境下で、WLTCよりも1km/kWh良い電費結果となっています(*´ω`*)♪
ただ・・・いくら400km走れると言っても、
SOC0%まで乗るなんて怖くてできないですよね(;´・ω・)・・・
★インパネに表示される残量
前から気になっていたのですが…インパネに表示されている残量とSOCは違う数値となっています・・・
メーカーが意図的に安全マージンを見込んで上限95%・下限2%に設定されているという情報を得ていたので以前の記事に記載したのですが・・・
msn-06s.hatenablog.jp
満充電でSOC99.1%を記録した事から、この情報はBMSのSOCではなく定格容量の95%以上の領域と、2%以下の領域がカットされている容量が実効容量として60kWhあると考えたほうが良さそうです(;´・ω・)
LeafSPYで表示されるSOC
車両のBMSのデータ
・クーロンカウンター:充放電の積算量
・OCV補正 :静止セル電圧による補正
・温度補正 :温度変化による補正
・SOH :劣化度を反映
・セルバランス補正 :最小セル電圧による補正
・Hx補正 :負荷による電圧降下の補正
クーロンカウンターによる積算容量に複数の補正を合成し算出した推定残量の割合
インパネに表示される残量
・BMSが満充電(定電圧充電へ移行しCレートが閾値に達した場合)と判断し、充電を完了した時に上限を100%でセット
・VLBW(バッテリー残量低下最終警告)となるセル電圧3.4V付近を0%としてセット
この2点を基準として非線形(非直線)の変換マップを通して補正された値がインパネの残量として表示されていると推測
その為、実際のクーロン減算量・Gids・SOCと、残量%の減り方は一致しない
★EVもキャリブレーションは必要?
SOC及びインパネの残量は、クーロンカウンターによって充放電による容量変化を算出していますが、僅かな誤差が発生するため充放電を繰り返す事により、誤差が蓄積され実際のSOCや残量値にズレが生じます。
満充電電圧値と過放電電圧値をBMSに学習させ表示を校正させる事をキャリブレーションと呼ぶのですが、キャリブレーションを行わないと実際の残量とBMS上での残量のズレが大きくなり、SOCやインパネ残量表示にも大きく影響してきます。
この場合、信頼できるのは静止状態のセル電圧値と総電圧値となります。
以前LFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)のキャリブレーションについて記事にしましたが、NMC(三元系リチウムイオン電池)でも例外ではないということになります。
msn-06s.hatenablog.jp
バッテリー警告(LBW)のトリガーは
・SOCが15%程度
・セル電圧3.5V未満+温度補正
この条件を満たした時に LBW が点灯するとされています。
⇓ 残量表示6%でバッテリー残量の警告

インパネ上の残量は6%しかないですが、BMSではSOC15.3%で残量は7,905Wh≒7.9kWhあることになっています。
⇓ 残量低下警告時のLeafSPYのデータ

電費7km/Kwhで走行すれば50kmは走行できますが、加速時の負荷によってセル電圧が3.0V以下まで低下すれば走行制限される可能性も有ります。
⇓ 15km走行して約2kWh消費しSOCは約3.5%減インパネ残量は4%

電費6.7km/kWhで設定した状態でVLBWまで27.7kmとなっていますが、この段階になるとインパネの航続距離は20kmを切っておりアテになりません。
総電圧は334Vでセル電圧は3.48V程度でセル電圧差も20kW程度の負荷であれば全く乱れないので、現状なら実質5%くらいまでは走行制限なく乗れそうな気はします。
VLBW基準(SOC6%~7%、セル電圧3.4V前後、Gids20~25)
クーロンカウンターの誤差によって残量が過小評価されていれば、キャリブレーションを実施することによって、残量は上方修正され残量警告が出るタイミングも遅くなると思われます。
逆に過大評価されていればキャリブレーションによって残量は下方修正されますね。
★キャリブレーションがSOHに与える影響
昨年の6月の調整で88%台まで急降下したSOHですが、9月と12月に少し回復し・・・
今年の3月と6月に再度85%台まで急降下し、9月にV字回復に成功しています。
⇓ SOHとHxの推移

以前の記事で、SOH調整はHxの増加とSOCの残量がトリガーになっていると仮説を立てましたが、直近3回の調整時の状況からこの説は消えました。
msn-06s.hatenablog.jp
先に記述したクーロンカウンターの誤差がSOH調整に影響していると仮定すると・・・
キャリブレーションの実施の時期によっては、BMSが推定実効容量と整合を取るために、SOHの補正が行われる可能性があります。
☆調整日とSOC・セル電圧の過去のデータを確認
⇓ ログ開始以降のSOH調整日と直近の満充電を行った日のデータ抜粋
| SOH調整日 |
満充電日 |
高SOC時
(SOC / Gids / セル電圧)
|
低SOC時
(SOC / Gids / セル電圧)
|
| 2024/12/10 |
2024/10/26 |
97.7% / 697 / 4.21V |
21.6% / 154 / 3.54V |
| 2025/03/10 |
2025/02/15 |
93.9% / 666 / 4.18V |
32.1% / 227 / 3.60V |
| 2025/06/08 |
2025/06/07 |
98.2% / 697 / 4.21V |
31.2% / 221 / 3.59V |
| 2025/09/06 |
2025/08/02 |
96.8% / 655 / 4.18V |
18.9% / 128 / 3.53V |
| 2025/12/05 |
2025/11/22 |
97.0% / 655 / 4.20V |
19.9% / 134 / 3.53V |
| 2026/03/05 |
2026/01/17 |
95.8% / 650 / 4.18V |
15.3% / 103 / 3.47V |
| 2026/06/03 |
2026/05/15 |
97.9% / 657 / 4.20V |
28.1% / 188 / 3.58V |
| 2026/09/01 |
2026/08/29 |
99.1% / 649 / 4.21V |
20.7% / 136 / 3.54V |
※赤字の調整日はSOHが上がった時、青字の調整日はSOHが下がった時
※緑字の調整日はSOHに変化が無かった時
・SOHが下がった時
2024年12月
2026年3月
調整前よりも1ヶ月以上前に満充電しており、クーロンカウンターが上限値の校正を行ってからの期間が長く、誤差が蓄積されていた可能性が高く、上限側の誤差が大きさから容量低下と判断されSOHが下方修正された可能性がある
2025年6月
2026年6月
調整前の2週間以内で満充電されているのですが、SOC30%程度までしか使用されておらず、クーロンカウンターが上限値は校正されたが、下限値は校正されず、上限側にシフトされた誤差の大きさは変わらず容量低下と判断されSOHが下方修正された可能性がある
特に2025年6月は、下限値の校正が長期行われず、更にHx減少を防ぐために誤差の大きいSOC50%以下の運用をしていた為、誤差が大きくなりSOHが激減した可能性がある
・SOHが上がった時
2025年9月
6~8月にHxを上げる為、誤差の小さいSOC50%以上での運用が多かった為、キャリブレーションを行っていなくてもクーロンカウンターの誤差が小さく、SOHが上方修正された可能性がある
2025年12月
2026年9月
調整前の2週間以内で満充電~20%以下まで使用をしており、クーロンカウンターの上限値・下限値が共に校正され、SOHが上方修正された可能性がある
上下どちらに修正されるかが分かれば、SOH調整時にシステムのONOFFだけで変化させられることが判明しているので、この仮説が正しければ調整前にキャリブレーションを行う事で、推定容量の補正を行いSOHのズレを補正できる可能性があると思われます。
ただ、システムONOFFによるSOHの変化もエンドレスという訳ではなく、特定の回数又は変化率が決まっている可能性があるので、実質的なSOH以上に上げることはできないと思います。
経験則ですが、恐らく経年劣化の指標が別で存在し、その閾値を超えないように制限されているように思います。
2025年3月の調整ではSOHに変化が無かったので、あくまで推測でしかありません。
ただSOH調整時の判定要因の一つと考えても良さそうです。
★リーフのキャリブレーション
☆実施時期
SOH3ヶ月調整の1~2週間以内(近い程精度が高い)
☆充電方法
3kW普通充電が望ましい
充電量の違いにより、充電電流量が変化します。
急速充電では、定電流充電でCレートが大きく電圧が増加し充分に電力が蓄えられる前に上限セル電圧値に達してしまい、定電圧充電モードへ移行してしまいます。その結果SOC60%~80%程度という早い段階で定電圧充電に移行してしまい、低速充電となるので、満充電まで充電するとコスパが悪いのでお勧めは出来ません。
定電圧充電でセルの上限電圧値に達し、Cレートがカットオフ値まで下がるとクーロンカウンタは満充電と認識し、充電完了と同時にカウンターをリセットします。
普通充電のように電流量が少ないと、ゆっくり電圧が上昇するため、定電流充電によって充分電力量が蓄えられます。その後定電圧充電によりセルバランスが調整されて充電が完了します。
☆上限リセット
普通に満充電すればよい
充電停止セル電圧は4.215V付近で、充電中や充電直後は若干電圧が高くなっていますが、時間経過と共に電圧は下がり、4.18Vあたりで落ちついています。
※セルの劣化によって落ち着く電圧値は変化します。
※ログデータで4.18~4.21Vとバラつきがあるのは、充電完了後の時間経過の差で、4.21Vは充電停止直後のセル電圧です。
☆下限リセット
バッテリー残量低下警告(LBW)まで使用
セル電圧3.55V(SOC20%以下)程度で下限値の校正が行われる可能性がありますが、低温時は内部抵抗が高くなる事から電圧低下が大きく温度補正が強く影響すると思われる為、LBWを目安にするのが確実に思います。
残量表示-でSOC5%という情報があるので、VLBWまで下げれば精度は上がると思いますが、未検証なので断言はできません。
※走行制限はセル電圧3.0V~3.2Vに達すると発動するとされており、セル電圧2.8V~3.0Vに達すると電欠となる為、ここまで低下させる必要は無いです。
⇓ リーフのログデータから作成したSOC-電圧曲線

※リチウムイオン電池は満充電付近の電圧になると急激に電圧が上昇するのですが、リーフバッテリーのSOCと電圧のログを基にしたグラフでは極端な電圧上昇がみられない事から、電圧が急上昇する領域は4.2V以上とみてよく、ユーザーが過充電を気にしなくても良いように制御されていると思ってよいです。
充電電圧は403V程度に設定されているようで、セルバランサーによって4.22V未満に抑えているので、4.18~4.21V付近が満充電電圧となっています。
SOC50%以上の領域では電圧低下が大きく、電圧からSOCを推測する精度が高いので誤差が小さいですが、SOC50%以下になると電圧低下が緩やかになる為、電圧からSOCを推測する制度が低いので誤差が大きくなります。
このグラフでは低電圧領域のデータが無いですが、一般的にSOC20%未満になると電圧低下が大きくなる為、クーロンカウンターの校正をするのに適しています。