家庭用蓄電池は高いです。
現状で工事費用含めて1kWh当たり15万円~20万円と言われていますね。
10kWhの蓄電池を設置して150万円~200万円です。
基本的に蓄電池は固定して分電盤へ繋ぐだけです。
工事費としては20万円くらいなので、本体価格が高いのは言うまでもないですね。
でも設備的には電力を太陽光発電や系統からの商用電力で充電して、必要な時に放電させるといったものなので経済効果は殆んど望めません( ;´・ω・`)
蓄電池にどのくらいの経済効果があるのか?
電力会社と契約している電気料金単価を見れば計算できます。
例えば、中部電力の従量電灯プランでいうと、令和5年1月現在の価格で
300kWh超/月の単価:28.75円/kWh
再エネ賦課金単価:1.4円/kWh
燃料費調整単価:-1.01円/kWh
1kWhあたり:28.75円+1.4円+-1.01円=29.14円/kWh
蓄電池容量10kWhの実際に使用できる容量は
充電効率95%
放電効率95%
放電深度70%~90%(家庭用蓄電池の設定は70%くらい)
10kWh×95%×95%×70%=6.3kWh
蓄電池容量10kWhの1日の経済効果
6.3kWh×29.14円/kWh=184円
年間の雨天日数:約100日
(365日-100日)×184円=48760円 → 年間約4.8万円
これは、太陽光発電等で得た電力で満充電した場合です。
時間帯別プランで夜間充電をして昼間に使用する場合は、
例えば中部電力のEライフプランでいうと、令和5年1月現在の価格で
デイタイムの単価:34.21円/kWh
ホームタイムの単価:26.15円/kWh
ナイトタイムの単価:16.22円/kWh
再エネ賦課金単価:1.4円/kWh
燃料費調整単価:-1.01円/kWh
1kWhあたりの単価は
平日34.21円+1.4円+-1.01円=34.6円/kWh
休日26.15円+1.4円+-1.01円=26.54円/kWh
タイムシフト(夜間充電・昼間放電)した場合の単価
平日34.6円-16.22円=18.38円/kWh
休日26.54円-16.22円=10.32円/kWh
蓄電池容量10kWhの1日の経済効果
平日6.3kWh×18.38円/kWh=115円
休日6.3kWh×10.32円/kWh=65円
年間平日日数:245日
年間休日(土日祝)日数:120日
115円×245日+65円×120日=35975円 → 年間約3.5万円
家庭用蓄電池の蓄電池寿命10000サイクルで考えると27年の寿命となりますが、スマホやEV等と同じで蓄電池が劣化すれば放電可能時間は少しづつ落ちてきます。
メーカー保証は10~20年とされている当たり、サイクル数で寿命を考えるのは間違いで、実際に我が家の蓄電池の一つは1年満たないうちに400サイクル超えました。
使用環境や使用方法に影響されるので、公称サイクルの2/3程度で考えるのが無難でしょう。
10000サイクル×2/3÷365日=18年
年間経済効果から
太陽光発電で使用した場合
18年×4.8万円=86万円
タイムシフトで使用した場合
18年×3.5万円=63万円
太陽光発電を利用して蓄電池を使用する場合、10kwhあたり86万円以下
太陽光発電を利用せず蓄電池を使用する場合、10kWhあたり63万円以下
で導入しないと完全に赤字になるということになります( *・ω・)ノ
※あくまでも計算例なので、金額は契約プランによって変わってきます
家庭用蓄電池を導入すると赤字になるって言われているのは納得できますよね。
ただ、蓄電池があると太陽光発電で無駄に発電される余剰電力を貯めることができ、その電力を夜間や停電時に利用でき、設備としての魅力はあるんですよね。
実際の話DIYで設置すれば、赤字にならずに導入可能ですね。
まぁ色々制約はありますが、どうしても蓄電池を導入したい方であれば下記を選択肢に含めても良いと思います。
①家庭用ソーラー・ハイブリッドシステム
約79万円なので、家庭用蓄電池のおよそ半額ですね( *・ω・)ノ
電気工事DIYの初心者にはオススメです。
こちらはハイブリッドタイプで、太陽光パネルがあればパワコンとしても機能するので、使用中のパワコンが壊れた人が蓄電池設備を検討している場合に、最適な商品と言えるでしょう。
もちろん太陽光パネルが無くても蓄電池単体で使用できますが、冒頭で述べたように経済効果を得る為には太陽光パネルを接続した方が良いです。
蓄電池単体使用では現価格よりも更に安く購入しないと費用回収できません。
また、注意点としては単相2線式出力なので、特定負荷型の蓄電池と同等になります。
DIY向けの製品は、基本的に出力を系統に接続はしないので、売電はできませんが系統連系の必要が無いので面倒な手続きがありません。
デメリットと言えば、補助金の対象にならない可能性があることでしょう。各自治体によって確認は必要ですね。
また、DIYと言っても、商用電力を入力接続したり、コンセントへ出力する為には電気工事をすることになる為、電気工事士の資格が必要となります。
資格が無い場合は、設置工事を有資格者又は電気工事業者に依頼しないとダメなので、その分工事費が発生します。
あと、一体型なので総重量が160㎏と一人ではどうにもならないレベルですね…
メリットとしては10kWh以上の蓄電池容量がありますが、IEC62619認証により、家庭用蓄電池と同様で、蓄電池設備の対象とはなりません(*ノ´∀`*)ノ
また家庭用蓄電池と同様で、複数台設置して合計で20kWhを超えても規制の対象にはなりません。
ただし、こちらの製品は単相三線式ハイブリッドインバーターとの接続も可能なので、カスタマイズはできるのですが、その場合は1つの箱に収納していないことになるので、カスタマイズした場合は20kWh以下に制限される可能性が高いです。
↓ 消防法令の蓄電池設備の規制についての詳細
②ハイブリッドインバーター+蓄電池
こちらは出力容量や蓄電池容量をハイブリッドインバータと蓄電池で好みの組み合わせにできるので、10kW出力の単相三線式ハイブリッドインバーターと10.24kWhの蓄電池を使用して、①の家庭用ソーラー・ハイブリッドシステムと同等の価格で倍の出力の全負荷型蓄電池にできます。
予算や好みに応じたシステムを構築でき、コスパも良いです。
単相三線式対応のハイブリッドインバーターを使用する事によって、全負荷型にできる事や、蓄電池に生セルや組バッテリーを使用する事によってコストダウンする事ができます( *・ω・)ノ
また、エンジン発電機に対応している製品も多く、エンジン発電機の出力と太陽光発電とのハイブリッド出力も可能なので、完全オフグリッドも可能となります。
注意点としては改正された消防法令により、蓄電池についてはIEC62619認証のある製品であれば20kWh以下までの容量の蓄電池を使用できますが、生セルや組バッテリーの場合は10kWh以下に制限されます(´д`|||)
基本的には①ハイブリッドシステム同様で、違うことと言えば上記記載の通りです。
また、家庭用ソーラー・ハイブリッドシステムでも言える事ですが、売電ができないので太陽光発電容量が大き過ぎても余剰電力はムダにしかならないので、太陽光発電容量と自家消費電力+蓄電池容量のバランスが重要となります。
③マルチインバーター+汎用バッテリー
こちらは、インバーターに充電機能と自動切替機能のついたもので、汎用バッテリーと組み合わせて使用します。
3kWの出力容量のあるインバーターで、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの接続も可能なので、蓄電池容量としては10kWh以下の設置が可能となります。
ポータブル電源よりも安価に大容量、大出力が可能です。
チャージコントローラーをバッテリーに接続する事で、太陽光発電等による充電が可能となり、3kWのハイブリッドインバーターと同等になりますが、3kWのハイブリッドインバーターを購入した方が、システムも統一されておりコスパも良いですね(;´∀`)
こちらの製品の場合はバッテリーの充電をコンセントから行う場合、電気工作物に該当してしまうので電気工事士の資格が必要になります。
固定設置さえしなければ資格は必要ありませんが、電気に関する知識は電気工事士並みに必要と思います。
④インバーター+汎用バッテリー+充電器
一昔前のオフグリッドの主流ですね。
自作太陽光発電というと、こちらの方法ばかりが紹介されていますよね。
使用するインバーターやバッテリーによってピンキリで、コスト的には一番安価にシステム構築ができます。
基本的な事はマルチインバーターと同じですが、バッテリーの充電は、チャージコントローラーを接続して太陽光発電等で充電するか、バッテリーを取り外してコンセントから充電器でバッテリーを充電する必要があり、切替器を使用しなければバッテリーが切れると停電になります(´д`|||)
こちらも、30V以下のインバーターを使用するのであれば電気工事士の資格は必要ありません。仮に48Vのインバーターを使用する場合でも、電気工事に該当しなければ資格は必要ではありません。
その為、電気の知識が無い人が見様見真似でシステムを構築して事故を起こしやすいと言えます。
使用する機器によって自身でシステム設計をする必要があるので、DIY蓄電池設備の中では一番電気の知識を求められると思います。
キャンピングカーでは走行充電器から充電できるため、この方法が現在も主流ですが、家庭用で無停電とする場合は、PSE認証のある自動切替器を使用する必要があり、充電も自動で行おうとするとかなり複雑なシステムになります。
まとめ
①家庭用ソーラー・ハイブリッドシステム
家庭用蓄電池を安くシンプルに導入したい人向け
価格は高めですが、容量5.12kWh・出力5kW・特定負荷型で約46万円
蓄電池寿命は6000~15000サイクル。
メーカー保証は5年。
家庭用蓄電池と同様で単体増設であれば20kWh超でも規制対象にはなりません。
工事の難易度は低
②ハイブリッドインバーター+蓄電池
安価・高機能にこだわる人向け
価格は組み合わせ次第で、容量5.12kWh・出力5kW・特定負荷型で約26万円
※汎用LFPバッテリーの場合です。鉛バッテリー使用で更にコストダウン可能。
蓄電池寿命は5000~10000サイクル。
メーカー保証はハイブリッドインバーター1年、蓄電池1年
※メーカーや製品によります。
蓄電池がJISC8715-2又はIEC62619に適合であれば20kWh超で規制対象です。
※汎用バッテリーや蓄電池だと10kWh超で規制対象となります。
工事の難易度はシステム構成次第で低~中
③マルチインバーター+汎用バッテリー
電気工事士の資格なしで設置したい人向け
価格は蓄電池の制約がある為、容量5.12Wh・出力3kW・100V機器用で約22万円
※蓄電池はLFP25.6V200Ahを使用した場合です。
蓄電池寿命はLFPで5000~10000サイクル。
メーカー保証はマルチインバーター1年、蓄電池1年
蓄電池容量10kWh超で規制対象です。
工事の難易度は中
④インバーター+汎用バッテリー+充電器
電気工事士の資格なしでとにかく安価に設置したい人向け
価格は蓄電池の制約がある為、容量5.12kWh・出力3kW・100V機器用で約21万円
※蓄電池はLFP25.6V200Ahを使用した場合です。
蓄電池寿命はLFPで5000~10000サイクル。
メーカー保証はインバーター1年、蓄電池1年
蓄電池容量10kWh超で規制対象です。
工事の難易度は高
番外 ポータブル電源
置くだけが良い人向け?
BLUETTI 蓄電池容量5kWh・出力2kW 約45万円
Ecoflow 蓄電池容量3.6kWh・出力3kW 約26万円
ポタ電は、発熱による蓄電池の劣化があり、寿命が短いです。
また、DIY蓄電池の①~④と比べても容量に対しての金額も高く、寿命も短いのでコスパは悪いです。
持ち運びができるというメリットくらいですね。