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無資格で太陽光発電( ゚д゚)?

DIY太陽光発電設備を作るのに資格は必要ですか?」

 

知恵袋で時々こんな質問がありますが、実際のところはどうなんでしょう?

そんな疑問を解消するための記事です。

 

まぁ、似たような記事がネット上多く存在するので、わざわざ記事にする必要も無いんですけどね…(;´∀`)

 

 

結論から言えば…電気工作物に該当するかどうかです。

 

 

電気工作物とは

構内に設置する電気を使用するためのもので、事業用電気工作物(自家用電気工作物・小規模事業用電気工作物)、一般電気工作物に分類されています。

↑ 経済産業省ページより

つまり太陽光発電設備は、出力10kW~50kWが小規模事業用電気工作物に該当し、出力10kW未満一般用電気工作物に該当します。

昭和39年法律第170号

第3章 電気工作物
第1節 定義
第38条 この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物であって、構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するものをいう。ただし、小規模発電設備(低圧(経済産業省令で定める電圧以下の電圧をいう。第1号において同じ。)の電気に係る発電用の電気工作物であって、経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するものを除く。
 1 電気を使用するための電気工作物であって、低圧受電電線路(当該電気工作物を設置する場所と同一の構内において低圧の電気を他の者から受電し、又は他の者に受電させるための電線路をいう。次号ロ及び第3項第1号ロにおいて同じ。)以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
 2 小規模発電設備であって、次のいずれにも該当するもの
  イ 出力が経済産業省令で定める出力未満のものであること。
  ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
 3 前2号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの
 
 
 
電気工作物から除外されるもの
電気事業法施行令の中に下記条文があります。
 
昭和40年政令第206号
内閣は、電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第7項、第27条、第50条、第51条第2項、第104条第3項、第106条及び第114条の規定に基づき、この政令を制定する。
(電気工作物から除かれる工作物)
第1条 電気事業法(以下「法」という。)第2条第1項第18号の政令で定める工作物は、次のとおりとする。
1 鉄道営業法(明治33年法律第65号)、軌道法(大正10年法律第76号)若しくは鉄道事業法(昭和61年法律第92号)が適用され若しくは準用される車両若しくは搬器船舶安全法(昭和8年法律第11号)が適用される船舶陸上自衛隊の使用する船舶(水陸両用車両を含む。)若しくは海上自衛隊の使用する船舶又は道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車に設置される工作物であって、これらの車両、搬器、船舶及び自動車以外の場所に設置される電気的設備に電気を供給するためのもの以外のもの
2 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に規定する航空機に設置される工作物
3 前2号に掲げるもののほか、電圧30V未満の電気的設備であって、電圧30V以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの
 
 
つまり、一般用電気工作物に分類されている10kW未満の太陽光発電設備でも、30V未満の電気設備であって、電圧30V以上の電気設備と電気的に接続されていないものであれば電気工作物からは除外されます。
その他には船舶や車両もですね。
 
つまり( ゚д゚)?
 
早い話が、設置固定されていないものであれば電気工作物には該当しません( *・ω・)ノ
ソーラーパネルインバーターを設置固定したら、立派な電気工作物となるので、この場合は移動可能なポータブル電源や折り畳みソーラーパネルになりますね。
また、設置固定されていても、30V未満で設置したもので30V以上の電気設備に接続しなければ、電気工作物に該当しません( *・ω・)ノ
フグリッドで30V未満に拘れば、無資格で太陽光発電設備を設置できます。
 
ただし、低い電圧から家庭用の電力を得る場合は、膨大な電流を必要とする為、電気に関する知識の無い人が、見様見真似でやると火災や感電事故になります。
そういう意味で、かなり危険なんです。
 
無資格でもできる太陽光発電
一般的に「自作太陽光発電」で検索すると出てくるやつです。
↓ Lvyuanの場合
注意しなければいけないのは30V未満という絶対条件です。
 
必要となるものは
・チャージコントローラー
・バッテリー
・ケーブル、ヒューズ、又はサーキットブレーカー
この中で30V未満にする必要があるものは、ソーラーパネルとバッテリーです。
 
無資格で設置可能な最大容量は?
まず、機器の拾い出しをします。
 
 チャージコントローラーは充電電流が大きいものほどパネル積載量が大きくできますが、充電電流が大きいものほどコストは上がってしまうので、充電電流80Aの物を選定すると、パネルの最大積載量は1100W/12V、2200W/24Vとなります。

コストは約3万円です。

 

バッテリー30V未満だと12Vと24Vで選択できるのですが、チャージコントローラーで24Vのバッテリーを充電する為には、最低でも30V以上のPV入力電圧が必要となる為、バッテリーは12Vに限定されてしまいます

一般的に鉛バッテリーが安価ですが、LFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーの方がランニングコストを考えるとコスパが良いので、LFPバッテリーを選定します。

また、最大80Aの充電電流なので最低でも80Ahの容量が必要となります。

また、出力3000Wクラスのインバーターでは300Ahの容量が必要となります。

ちなみに、鉛バッテリーはリチウムイオンバッテリーと違い、同容量があってもこの半分の出力も出せばバッテリーを傷めますし、放電深度が50%程度と少なくサイクル数も500回程度なので使用できるトータル量も格段に違います。メリットは価格面だけで、デメリットの方が多く、家庭用蓄電池には向きません。

300Ahの容量を満充電するのに1100Wのソーラーパネルで約4時間必要なので、日照時間が5時間と考えれば許容範囲と言えます。上記理由より、使用するバッテリーは

LFP12.8V300Ahで3.84kWhとします。

コストは約15万円です。

 

ソーラーパネルは30V未満の中から最大の物を選定すると…
・カナディアンソーラー 210WVoc28.4V、Isc9.58A)

www.solar-off.com

※一般的に30V未満だと200W程度までのパネルになります。

選定したチャージコントローラーの、12Vシステムでの最大発電量が1100Wなので、

 接続できる枚数は最大5枚となります。210W×5枚→1050Wですね。

直列接続をすると30V以上となってしまう為、パネル接続は並列接続に限定されてしまいます。

Isc9.58A×5枚→47.9AなのでPV入力電流は約50Aとなります。

 コストは約7.5万円です。

 

 インバーターはエアコンや電子レンジでも余裕で使用できる、3000Wクラスの純正弦波インバーターを選定します。

3000W÷12V÷90%→277A<300Aなので、300Ahのバッテリーで使用できる範囲内です。

コストは約4万円です。

 

ケーブルの選定は、周囲温度40℃電圧降下1V以内で選定し、ヒューズやブレーカーは電線の許容電流以内で選定します。

※12Vという低い電圧の為、電圧降下が大きいとシステムダウンの原因となるので1V以内とします。

・チャージコントローラー~バッテリー間:80A

 ケーブル→KIV38sq

 ヒューズ・ブレーカー→100A

・チャージコントローラー~ソーラーパネル間:50A

 ケーブル→CV14sq(5m)

 ヒューズ・ブレーカー→50A

・バッテリー~インバーター間:277A

 ケーブル→KIV150sq

 ヒューズ・ブレーカー→300A

コストは約2~3万円 

 

これで基本的なシステムは組めるので、これを実用的な最大容量にします。

※チャージコントローラーの端子へ電線が接続できない場合は、チャージコントローラーの手前で接続できる太さのものに変換する必要があります。

 

まず、日中自家消費をしながら夜間分の電力を充電しようと思うと、日中の自家消費電力量を10kWh程と想定します。

また、蓄電池容量は火災予防条例で10kWh以下に制限されているので、バッテリーは300Ahを2個使用して7.68kWhとなります。

msn-06s.hatenablog.jp

1kWのソーラーパネル容量で1日に発電できる電力量は約5kWh程度なので、

(10kWh+7.68kWh)÷5kWh→3.5≒4kW

太陽光発電容量は約4kWとなります。

インバーターは2台設置可能なので出力は6kWですね。

 

つまり、無資格で作れる太陽光発電の最大容量は

太陽光発電容量 4kW

蓄電池容量 7.68kWh

最大出力 6kW

となります。

 

 

これで機器の数量を拾い出しできますね( *・ω・)ノ

 

ソーラーパネル 210W×20枚→30万円

チャージコントローラー80A×4台→12万円

バッテリーLFP12.5V300Ah×2個→30万円

インバーター12V3000W×2台→8万円

ケーブル等→5~6万円

他パネル架台等 別途

約85万円で架台等含めると約100万円前後といったところです。

安いものに拘ればもっとコスパは良くなりますが、実用的なものを作るとこんな感じですね。

勘の良い方であれば、電気工事士の資格を取ってDIYした方が良いと思うでしょう。

 

それはさておき…

そんなにお金掛けて元取れる( ;´・ω・`)?

住宅太陽光と違うところは売電ができないところですね。

また、完全自家消費のオフグリッドなので、蓄電池の容量が尽きれば停電します。

それでも!と言い続けるのであれば、ご自由に( *・ω・)ノ

 

ソーラーパネル1kWの年間発電量は、約1000kWhです。

上記最大容量4kWの太陽光発電であれば、4000kWhですね。

対して蓄電池容量は7.68kWhで、実容量は蓄電池寿命を考慮して、放電深度70%、充電効率95%、インバーター効率90%とした場合、

7.68kWh×70%×95%×90%→4.6kWh程度になります。

年間の雨天が100日程度なので、265日発電すると仮定すると、年間充電量は

265日×4.6kWh→1219kWh≒約1200kWhとなります。

LiTimeのLFPバッテリーのサイクル数は4000回なのでシステム全体の寿命を約10年とします。

太陽光発電量は4000kWh×10年→4万kWh

うち充放電量は1200kWh×10年→1.2万kWh

電気料金単価を30円で考えると、

太陽光4万kWh×30円/kWh→120万円

蓄電池1.2万kWh×30円/kWh→36万円

この太陽光発電設備での経済効果は、36万円~120万円となります。

毎日がっつり自家消費して発電量をムダにしなければ元が取れる感じですね。

日没後のみの使用では大赤字です。

 

無資格でもソコソコの太陽光発電設備が作れ、在宅して上手く電気を使えば元は取れることが判ったと思いますが、オススメはしません。

危険な上、効率が悪いからです。

 

DIY太陽光発電を設置したいのであれば、最低限第二種電気工事士の資格を取得されることをオススメします。

 

 

第二種電気工事士の資格があるとどう違う( ゚д゚)?

30V以上~600V以下の一般的電気工作物の電気工事が可能となります。

DIY太陽光発電をするのにどんなメリットがあるのか?

ソーラーパネルの入力電圧を上げ、入力電流を下げる事でケーブル損失を減らす事ができます。

・システム電圧(バッテリー電圧)を上げる事により、機器の入力電流を下げる事でケーブル損失を減らす事ができます。

・ユニット化された機器を使用することで効率が良くなります

・系統からの商用電力や発電機からの100Vと切替接続する事で瞬断切替が可能となります

・ユニット化された蓄電池を使用することで20kWh以下の蓄電池容量が設置できます

・家全体を賄う事も可能です

こんなところでしょうか?

 

ケーブル損失が減るということは細い電線が使用できるので経済的メリットがあります。

無資格太陽光ではバッテリーとインバーター間で150sq(12V)という電線が必要となっていましたが、資格があれば22sq(48V)で済んでしまいます。

また、電流に比例して電圧降下も増減するので、電圧を上げることで電流が減り、電圧降下も減ります

DIY向けの太陽光発電ユニットとしては、ハイブリッドインバーターがあり、チャージコントローラーとインバーターと電力切替器の機能が1つの機器で賄えます。

小出力のものは24Vシステムですが、一般的には48Vシステムが主流ですね。

住宅太陽光のものは、100V又は200Vシステムとなります。

 

同じ容量の設備を有資格者が設置すると…( ;´・ω・`)?

ソーラーパネルコスパの良い大出力パネルを使用します。

405W ×10枚→4050W≒4kW(Voc49.2V、Isc10.52A)

www.solar-off.com

約16.7万円

 

ハイブリッドインバーターはチャージコントローラーとインバーターを一体化させたもので、6kWや8kWの物はコスパが悪いので、10kWを選定。

主なスペックはPV入力5000W、システム電圧48V、単相三線出力10kW、最大充電電流80A

 

 

約22.8万円

 

バッテリーは20kWh以下まで設置可能な適合蓄電池から、51.2V100Ah×3台で15.36kWh

 

 

約72万円

 

ケーブルの選定は、周囲温度40℃電圧降下1V以内で選定し、ヒューズやブレーカーは電線の許容電流以内で選定します。

・ハイブリッドインバーター~バッテリー間:200A

 ケーブル→KIV60sq

 ヒューズ・ブレーカー→200A

・ハイブリッドインバーターソーラーパネル間:10.52A

 ケーブル→VVF2.0-2c(5m)

 ヒューズ・ブレーカー→15A

コストは約2~3万円 

トータルコストは約115万円で、架台等を含めると130万円前後と 無資格太陽光よりもコスパは悪く見えますが、

太陽光発電容量4.01kW

蓄電池容量15.36kWh

出力10kW(200V可)

とスペックは高くなっています。

※接続方法に関してはハイブリッドインバーターの製品ページ参照

 

有資格設置の経済効果は変わるの?

同じように試算してみましょう♪

ソーラーパネル1kWの年間発電量は、約1000kWhです。

同じ最大容量4kWの太陽光発電であれば、4000kWhですね。

対して蓄電池容量は15.36kWhで、この蓄電池は放電深度80%、充電効率93%、インバーター効率93%とした場合、

15.36kWh×80%×93%×93%→10.63kWh程度になります。

年間の雨天が100日程度なので、265日発電すると仮定すると、年間充電量は

265日×10.63kWh→2816kWh≒約2800kWhとなります。

このLFPバッテリーのサイクル数は6000回なのでシステム全体の寿命を約16年とします。

太陽光発電量は4000kWh×16年→6.4万kWh

うち充放電量は2800kWh×16年→4.5万kWh

電気料金単価を30円で考えると、

太陽光6.4万kWh×30円/kWh→192万円

蓄電池4.5万kWh×30円/kWh→135万円

この太陽光発電設備での経済効果は、135万円~192万円となります。

日没後のみの使用でも元が引けますΣ( ゚Д゚)

もちろん今後の電気料金の動向や、機器の耐久性などによって元が引けない可能性はありますが、無資格でやるよりも電気工事士の資格を取得した方がDIYの幅も広がるので良いと思います。

 

最後に、電気工事士法をサラッと記載しておきます。

 

(目的)
第1条 この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この法律において「一般用電気工作物等」とは、一般用電気工作物(電気事業法(昭和39年法律第170号)第38条第1項に規定する一般用電気工作物をいう。以下同じ。)及び小規模事業用電気工作物(同条第3項に規定する小規模事業用電気工作物をいう。以下同じ。)をいう。
3 この法律において「電気工事」とは、一般用電気工作物等又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。ただし、政令で定める軽微な工事を除く。
4 この法律において「電気工事士」とは、次条第一項に規定する第一種電気工事士及び同条第二項に規定する第二種電気工事士をいう。
第3条 第一種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第一種電気工事士」という。)でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事(第3項に規定する電気工事を除く。第4項において同じ。)の作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。
2 第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。
内閣は、電気工事士法昭和35年法律第139号)第2条、第4条第5項、第5条第3項、第6条第2項及び第10条の規定に基づき、並びに同法を実施するため、この政令を制定する。
(軽微な工事)
第1条 電気工事士法(以下「法」という。)第2条第3項ただし書の政令で定める軽微な工事は、次のとおりとする。
1 電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
2 電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
3 電圧600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
4 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る。)の二次側の配線工事
5 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
6 地中電線用の暗きよ又は管を設置し、又は変更する工事