知恵袋で時々こんな質問がありますが、実際のところはどうなんでしょう?
そんな疑問を解消するための記事です。
まぁ、似たような記事がネット上多く存在するので、わざわざ記事にする必要も無いんですけどね…(;´∀`)
結論から言えば…電気工作物に該当するかどうかです。
電気工作物とは
構内に設置する電気を使用するためのもので、事業用電気工作物(自家用電気工作物・小規模事業用電気工作物)、一般電気工作物に分類されています。
↑ 経済産業省ページより
つまり太陽光発電設備は、出力10kW~50kWが小規模事業用電気工作物に該当し、出力10kW未満が一般用電気工作物に該当します。
昭和39年法律第170号
コストは約3万円です。
バッテリーは30V未満だと12Vと24Vで選択できるのですが、チャージコントローラーで24Vのバッテリーを充電する為には、最低でも30V以上のPV入力電圧が必要となる為、バッテリーは12Vに限定されてしまいます。
一般的に鉛バッテリーが安価ですが、LFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーの方がランニングコストを考えるとコスパが良いので、LFPバッテリーを選定します。
また、最大80Aの充電電流なので最低でも80Ahの容量が必要となります。
また、出力3000Wクラスのインバーターでは300Ahの容量が必要となります。
ちなみに、鉛バッテリーはリチウムイオンバッテリーと違い、同容量があってもこの半分の出力も出せばバッテリーを傷めますし、放電深度が50%程度と少なくサイクル数も500回程度なので使用できるトータル量も格段に違います。メリットは価格面だけで、デメリットの方が多く、家庭用蓄電池には向きません。
300Ahの容量を満充電するのに1100Wのソーラーパネルで約4時間必要なので、日照時間が5時間と考えれば許容範囲と言えます。上記理由より、使用するバッテリーは
LFP12.8V300Ahで3.84kWhとします。
コストは約15万円です。
接続できる枚数は最大5枚となります。210W×5枚→1050Wですね。
直列接続をすると30V以上となってしまう為、パネル接続は並列接続に限定されてしまいます。
Isc9.58A×5枚→47.9AなのでPV入力電流は約50Aとなります。
コストは約7.5万円です。
インバーターはエアコンや電子レンジでも余裕で使用できる、3000Wクラスの純正弦波インバーターを選定します。
3000W÷12V÷90%→277A<300Aなので、300Ahのバッテリーで使用できる範囲内です。
コストは約4万円です。
ケーブルの選定は、周囲温度40℃と電圧降下1V以内で選定し、ヒューズやブレーカーは電線の許容電流以内で選定します。
※12Vという低い電圧の為、電圧降下が大きいとシステムダウンの原因となるので1V以内とします。
・チャージコントローラー~バッテリー間:80A
ケーブル→KIV38sq
ヒューズ・ブレーカー→100A
・チャージコントローラー~ソーラーパネル間:50A
ケーブル→CV14sq(5m)
ヒューズ・ブレーカー→50A
・バッテリー~インバーター間:277A
ケーブル→KIV150sq
ヒューズ・ブレーカー→300A
コストは約2~3万円
これで基本的なシステムは組めるので、これを実用的な最大容量にします。
※チャージコントローラーの端子へ電線が接続できない場合は、チャージコントローラーの手前で接続できる太さのものに変換する必要があります。
まず、日中自家消費をしながら夜間分の電力を充電しようと思うと、日中の自家消費電力量を10kWh程と想定します。
また、蓄電池容量は火災予防条例で10kWh以下に制限されているので、バッテリーは300Ahを2個使用して7.68kWhとなります。
1kWのソーラーパネル容量で1日に発電できる電力量は約5kWh程度なので、
(10kWh+7.68kWh)÷5kWh→3.5≒4kW
太陽光発電容量は約4kWとなります。
インバーターは2台設置可能なので出力は6kWですね。
つまり、無資格で作れる太陽光発電の最大容量は
太陽光発電容量 4kW
蓄電池容量 7.68kWh
最大出力 6kW
となります。
これで機器の数量を拾い出しできますね( *・ω・)ノ
ソーラーパネル 210W×20枚→30万円
チャージコントローラー80A×4台→12万円
バッテリーLFP12.5V300Ah×2個→30万円
インバーター12V3000W×2台→8万円
ケーブル等→5~6万円
他パネル架台等 別途
約85万円で架台等含めると約100万円前後といったところです。
安いものに拘ればもっとコスパは良くなりますが、実用的なものを作るとこんな感じですね。
勘の良い方であれば、電気工事士の資格を取ってDIYした方が良いと思うでしょう。
それはさておき…
そんなにお金掛けて元取れる( ;´・ω・`)?
住宅太陽光と違うところは売電ができないところですね。
また、完全自家消費のオフグリッドなので、蓄電池の容量が尽きれば停電します。
それでも!と言い続けるのであれば、ご自由に( *・ω・)ノ
ソーラーパネル1kWの年間発電量は、約1000kWhです。
上記最大容量4kWの太陽光発電であれば、4000kWhですね。
対して蓄電池容量は7.68kWhで、実容量は蓄電池寿命を考慮して、放電深度70%、充電効率95%、インバーター効率90%とした場合、
7.68kWh×70%×95%×90%→4.6kWh程度になります。
年間の雨天が100日程度なので、265日発電すると仮定すると、年間充電量は
265日×4.6kWh→1219kWh≒約1200kWhとなります。
LiTimeのLFPバッテリーのサイクル数は4000回なのでシステム全体の寿命を約10年とします。
太陽光発電量は4000kWh×10年→4万kWh
うち充放電量は1200kWh×10年→1.2万kWh
電気料金単価を30円で考えると、
太陽光4万kWh×30円/kWh→120万円
蓄電池1.2万kWh×30円/kWh→36万円
この太陽光発電設備での経済効果は、36万円~120万円となります。
毎日がっつり自家消費して発電量をムダにしなければ元が取れる感じですね。
日没後のみの使用では大赤字です。
無資格でもソコソコの太陽光発電設備が作れ、在宅して上手く電気を使えば元は取れることが判ったと思いますが、オススメはしません。
危険な上、効率が悪いからです。
DIYで太陽光発電を設置したいのであれば、最低限第二種電気工事士の資格を取得されることをオススメします。
第二種電気工事士の資格があるとどう違う( ゚д゚)?
30V以上~600V以下の一般的電気工作物の電気工事が可能となります。
・ソーラーパネルの入力電圧を上げ、入力電流を下げる事でケーブル損失を減らす事ができます。
・システム電圧(バッテリー電圧)を上げる事により、機器の入力電流を下げる事でケーブル損失を減らす事ができます。
・ユニット化された機器を使用することで効率が良くなります
・系統からの商用電力や発電機からの100Vと切替接続する事で瞬断切替が可能となります
・ユニット化された蓄電池を使用することで20kWh以下の蓄電池容量が設置できます
・家全体を賄う事も可能です
こんなところでしょうか?
ケーブル損失が減るということは細い電線が使用できるので経済的メリットがあります。
無資格太陽光ではバッテリーとインバーター間で150sq(12V)という電線が必要となっていましたが、資格があれば22sq(48V)で済んでしまいます。
また、電流に比例して電圧降下も増減するので、電圧を上げることで電流が減り、電圧降下も減ります。
DIY向けの太陽光発電ユニットとしては、ハイブリッドインバーターがあり、チャージコントローラーとインバーターと電力切替器の機能が1つの機器で賄えます。
小出力のものは24Vシステムですが、一般的には48Vシステムが主流ですね。
住宅太陽光のものは、100V又は200Vシステムとなります。
同じ容量の設備を有資格者が設置すると…( ;´・ω・`)?
405W ×10枚→4050W≒4kW(Voc49.2V、Isc10.52A)
約16.7万円
ハイブリッドインバーターはチャージコントローラーとインバーターを一体化させたもので、6kWや8kWの物はコスパが悪いので、10kWを選定。
主なスペックはPV入力5000W、システム電圧48V、単相三線出力10kW、最大充電電流80A
約22.8万円
バッテリーは20kWh以下まで設置可能な適合蓄電池から、51.2V100Ah×3台で15.36kWh
約72万円
ケーブルの選定は、周囲温度40℃と電圧降下1V以内で選定し、ヒューズやブレーカーは電線の許容電流以内で選定します。
・ハイブリッドインバーター~バッテリー間:200A
ケーブル→KIV60sq
ヒューズ・ブレーカー→200A
ケーブル→VVF2.0-2c(5m)
ヒューズ・ブレーカー→15A
コストは約2~3万円
トータルコストは約115万円で、架台等を含めると130万円前後と 無資格太陽光よりもコスパは悪く見えますが、
太陽光発電容量4.01kW
蓄電池容量15.36kWh
出力10kW(200V可)
とスペックは高くなっています。
※接続方法に関してはハイブリッドインバーターの製品ページ参照
有資格設置の経済効果は変わるの?
同じように試算してみましょう♪
ソーラーパネル1kWの年間発電量は、約1000kWhです。
同じ最大容量4kWの太陽光発電であれば、4000kWhですね。
対して蓄電池容量は15.36kWhで、この蓄電池は放電深度80%、充電効率93%、インバーター効率93%とした場合、
15.36kWh×80%×93%×93%→10.63kWh程度になります。
年間の雨天が100日程度なので、265日発電すると仮定すると、年間充電量は
265日×10.63kWh→2816kWh≒約2800kWhとなります。
このLFPバッテリーのサイクル数は6000回なのでシステム全体の寿命を約16年とします。
太陽光発電量は4000kWh×16年→6.4万kWh
うち充放電量は2800kWh×16年→4.5万kWh
電気料金単価を30円で考えると、
太陽光6.4万kWh×30円/kWh→192万円
蓄電池4.5万kWh×30円/kWh→135万円
この太陽光発電設備での経済効果は、135万円~192万円となります。
日没後のみの使用でも元が引けますΣ( ゚Д゚)
もちろん今後の電気料金の動向や、機器の耐久性などによって元が引けない可能性はありますが、無資格でやるよりも電気工事士の資格を取得した方がDIYの幅も広がるので良いと思います。
最後に、電気工事士法をサラッと記載しておきます。